09:40 〜 09:50
[27] 荷重計測を用いた鋼製小物の使用感の可視化
主に手術室で用いられる鋼製小物は大きく
分類しても約30種類にも上り,さらにサイズや
先端形状のバリエーションは数百種類に上る.
この理由が手術手技自体の多様性にあるのは言
うまでもなく,典型的な多品種少量生産であり,
他製造業と比較して自動化は進まず,熟練技術
者による手作業での製造が残っている.しかし
ながら団塊世代の大量退職や若者のものづくり
離れなどの理由で,後継者は年々減少しており,
技能技術伝承が急務である.
このような背景から我々は,熟練技術者の暗
黙知を形式知に変換し,高品質な鋼製小物のも
のづくりを支援すべく,製品特性の可視化に取
り組んでいる.切除・把持等の基本性能は当然
具備するが,それに加えて「なめらかさ」「デ
リケート」といった医師の使用感が鋼製小物の
付加価値であると考えた.これら感性評価は鋼
製小物の操作力変化に関連すると仮定し,鋼製
小物に荷重をかけて開閉動作をおこなう際の荷
重-変位曲線を求めることとした.
計測スタンド(IMADA製MX2-1000N)に機器
を固定し,フォースゲージ(ZTA-500N/50N)
で一定速度にて鋼製小物の把持部に垂直に荷重
をかけ,開状態から完全に閉状態になるまでの
荷重-変位曲線を求めた.評価の対象は剥離鉗
子,開創器,鋭匙鉗子,円のみ鉗子等である.
このうち剥離鉗子と開創器はラチェット(ガン
ギ)を有する.計測スタンドへの固定のため,
把持部の形状に対応したABS製アタッチメン
トを個別に設計し,3Dプリンタで作成した.
ほぼ同一仕様の2社の製品同士を比較した
ところ,ラチェットを有する鋼製小物について
は各ラチェットを乗り越える際の荷重変動波形
に明確な差が観察された.また,ラチェットを
有さない鋼製小物では,閉じる時と開く時の荷
重のヒステリシスについて大きな差が観察され
た.前者はラチェットにより組織の把持力を繊
細に調整する際の使用感に,後者は開閉操作を
繰り返す際の使用感に関連付けられると考えら
れる.
分類しても約30種類にも上り,さらにサイズや
先端形状のバリエーションは数百種類に上る.
この理由が手術手技自体の多様性にあるのは言
うまでもなく,典型的な多品種少量生産であり,
他製造業と比較して自動化は進まず,熟練技術
者による手作業での製造が残っている.しかし
ながら団塊世代の大量退職や若者のものづくり
離れなどの理由で,後継者は年々減少しており,
技能技術伝承が急務である.
このような背景から我々は,熟練技術者の暗
黙知を形式知に変換し,高品質な鋼製小物のも
のづくりを支援すべく,製品特性の可視化に取
り組んでいる.切除・把持等の基本性能は当然
具備するが,それに加えて「なめらかさ」「デ
リケート」といった医師の使用感が鋼製小物の
付加価値であると考えた.これら感性評価は鋼
製小物の操作力変化に関連すると仮定し,鋼製
小物に荷重をかけて開閉動作をおこなう際の荷
重-変位曲線を求めることとした.
計測スタンド(IMADA製MX2-1000N)に機器
を固定し,フォースゲージ(ZTA-500N/50N)
で一定速度にて鋼製小物の把持部に垂直に荷重
をかけ,開状態から完全に閉状態になるまでの
荷重-変位曲線を求めた.評価の対象は剥離鉗
子,開創器,鋭匙鉗子,円のみ鉗子等である.
このうち剥離鉗子と開創器はラチェット(ガン
ギ)を有する.計測スタンドへの固定のため,
把持部の形状に対応したABS製アタッチメン
トを個別に設計し,3Dプリンタで作成した.
ほぼ同一仕様の2社の製品同士を比較した
ところ,ラチェットを有する鋼製小物について
は各ラチェットを乗り越える際の荷重変動波形
に明確な差が観察された.また,ラチェットを
有さない鋼製小物では,閉じる時と開く時の荷
重のヒステリシスについて大きな差が観察され
た.前者はラチェットにより組織の把持力を繊
細に調整する際の使用感に,後者は開閉操作を
繰り返す際の使用感に関連付けられると考えら
れる.