2:00 PM - 2:10 PM
[33] 抗血栓性に優れる新規アクリルポリマーの合成
【緒言】
人工心肺・ECMOやステントなどの血液と
接触する医療機器には,血液の異物反応による
血栓の形成を防ぐために,生体適合性に優れる
抗血栓性コーティング剤が使用される.
従来から,コーティング剤には,動物由来の
ヘパリンが使用されているが,水溶性のため基
材への固定化が必須となることや,感染症や供
給面でリスクが高いことなどの課題があり,非
水溶性の合成高分子が注目されている.特に,
ポリ(2-メトキシエチルアクリレート)(PMEA)
は,抗血栓性を有しており,また簡便なコート
が可能な非水溶性であるため,実用化されてい
る.
しかし,PMEAは長時間使用で血栓が生じ
るなどの課題があり,さらに優れた抗血栓性合
成高分子の開発が望まれている.
【開発方針と実験】
血栓は,ポリマーコートされた表面上に,
血中の血小板やタンパク質が吸着することによ
り形成される.これらの吸着の防止には,ポリ
マーと相互作用する水和水が寄与する.水和水
は,ポリマーとの相互作用の強さによって不凍
水,中間水,自由水に分類されるが,ポリマー
と適度に相互作用している中間水の量が多い場
合に,吸着が抑制される.そこで,中間水を多
く有するポリマー構造を探索した.
ポリマーは,ラジカル重合により合成,再
沈殿精製することで得た(重量平均分子量で
85,000程度).中間水量は,含水したポリマー
の示差走査熱量測定のピーク面積から算出し
た.抗血栓性は,ポリマーコートしたポリエチ
レンテレフタレートフィルム上に血液を静置さ
せ,走査電子顕微鏡により表面上に吸着した血
小板を数えることで評価した.
【結果・考察】
側鎖にウレタン基と特定のエーテル構造
を有する非水溶性アクリレートポリマーは,
PMEAと比べて中間水を多く含み,抗血栓性
が向上した.これは,水素結合点の増加により,
適度な水和構造が形成されたためと推定される.
人工心肺・ECMOやステントなどの血液と
接触する医療機器には,血液の異物反応による
血栓の形成を防ぐために,生体適合性に優れる
抗血栓性コーティング剤が使用される.
従来から,コーティング剤には,動物由来の
ヘパリンが使用されているが,水溶性のため基
材への固定化が必須となることや,感染症や供
給面でリスクが高いことなどの課題があり,非
水溶性の合成高分子が注目されている.特に,
ポリ(2-メトキシエチルアクリレート)(PMEA)
は,抗血栓性を有しており,また簡便なコート
が可能な非水溶性であるため,実用化されてい
る.
しかし,PMEAは長時間使用で血栓が生じ
るなどの課題があり,さらに優れた抗血栓性合
成高分子の開発が望まれている.
【開発方針と実験】
血栓は,ポリマーコートされた表面上に,
血中の血小板やタンパク質が吸着することによ
り形成される.これらの吸着の防止には,ポリ
マーと相互作用する水和水が寄与する.水和水
は,ポリマーとの相互作用の強さによって不凍
水,中間水,自由水に分類されるが,ポリマー
と適度に相互作用している中間水の量が多い場
合に,吸着が抑制される.そこで,中間水を多
く有するポリマー構造を探索した.
ポリマーは,ラジカル重合により合成,再
沈殿精製することで得た(重量平均分子量で
85,000程度).中間水量は,含水したポリマー
の示差走査熱量測定のピーク面積から算出し
た.抗血栓性は,ポリマーコートしたポリエチ
レンテレフタレートフィルム上に血液を静置さ
せ,走査電子顕微鏡により表面上に吸着した血
小板を数えることで評価した.
【結果・考察】
側鎖にウレタン基と特定のエーテル構造
を有する非水溶性アクリレートポリマーは,
PMEAと比べて中間水を多く含み,抗血栓性
が向上した.これは,水素結合点の増加により,
適度な水和構造が形成されたためと推定される.