第97回日本医療機器学会大会

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Oral presentation

技術開発/改良

技術開発/改良

Fri. Jun 3, 2022 2:00 PM - 3:00 PM 第4会場 (アネックスホール F204)

座長:吉田 靖(滋慶医療科学大学)

2:10 PM - 2:20 PM

[34] 血液吸引機能を搭載した内視鏡用小型プラズマジェットの開発とin vivo 実験

吉田 大輝1, 石川 雄大1, 大澤 泰樹1, 末永 祐磨1, 沖野 晃俊1, 高松 利寛2,3, 池松 弘朗3 (1.東京工業大学未来産業技術研究所, 2.東京理科大学生命医科学研究所, 3.国立がん研究センター 先端医療開発センター)

近年,患者への負担が少なく,日常生活へ
の復帰が早い内視鏡治療が注目されている.内
視鏡治療では,電気メスや止血クリップなど
の処置具を内径約3mmの鉗子口に挿入して使
用する.しかし,鉗子口に挿入可能な処置具は
1つのみであり,他の処置具を使用する際には
内視鏡から取り出して入れ替える必要があるた
め,複数の機能を持つ処置具の開発が望まれて
いる.そこで本研究では,低侵襲な止血が可能
であるプラズマジェット,血液吸引および送水
用のチューブ,電気メスなどの計3種類の機能
を搭載可能な多機能内視鏡止血デバイスの開発
をおこなった.まず,1つのデバイスに複数機
能を搭載するために超小型プラズマジェット
を開発した.プラズマ照射部筐体の大きさは
幅2.3 mm,高さ1.4 mmであり,直径0.6 mmの
プラズマ生成ガス流路の両側に電極を配置し
た.電極間に高電圧を印加することで低温プラ
ズマを生成できる.プラズマ生成ガスには,生
体吸収性に優れる二酸化炭素を使用した.開発
した小型プラズマジェットを用いて,ブタの血
液を用いた血液凝固実験をおこなった結果,二
酸化炭素プラズマを照射した場合,ガスのみの
照射と比べて25%以上早い15-20秒で血液が凝
固した.また,従来のアルゴンプラズマ凝固
法(APC)の高温プラズマも同じ装置で生成
できることを確認した.開発した小型プラズマ
ジェットと内径1.0 mmの血液吸引用チューブ,
電気メス/小型カメラを組み合わせ,多機能内
視鏡止血デバイスを試作し,開腹した豚の胃と
腸間膜に対する止血実験をおこなった.その結
果,大気圧低温プラズマと高温アルゴンプラズ
マを使い分けることで,様々な出血に対する止
血効果が確認できた.また,血液吸引と併用す
ることで,出血部位に対して的確にプラズマ照
射でき,高速な止血が実現できることを確認し
た.