第97回日本医療機器学会大会

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Oral presentation

技術開発/改良

技術開発/改良

Fri. Jun 3, 2022 2:00 PM - 3:00 PM 第4会場 (アネックスホール F204)

座長:吉田 靖(滋慶医療科学大学)

2:20 PM - 2:30 PM

[35] 遠隔モニタが可能な一次救命講習会用胸骨圧迫評価ツールの作製

堀 純也 (岡山理科大学理学部応用物理学科臨床工学専攻)

新型コロナウイルスの感染拡大以降,一般市
民向けのBLS講習会の実施も自粛傾向にある.
人との接触を可能な限り避けて,個人で胸骨圧
迫の練習をおこなうことができる方法として
ペットボトルを圧迫する訓練法が提案されてい
る[1].この手法では,胸骨圧迫のリズム評価
は,自分自身か,第三者に評価してもらうこと
になるが,胸骨圧迫の評価が自分でできればよ
り便利になると考えられる.当研究室では,こ
れまでに水を満たしたペットボトルのキャップ
に圧力センサを取り付けることで胸骨圧迫のリ
ズムを可視化することを試みてきた.今回は,
以前のシステムをBluetooth®で遠隔計測できる
ように改良した.
今回作製したシステムは,感圧センサ,マ
イクロコントローラ(ESP32),シングルボー
ドコンピュータ(Raspberry Pi 3)から構成
されている.感圧センサは,ペットボトルの
キャップにエポキシ樹脂と紫外線硬化型で固
定し,水で満たしたペットボトルに装着した.
ペットボトルを圧迫した際に生じる感圧センサ
の抵抗変化を電圧変化に変換してESP32で計測
し, Raspberry Pi 3へBluetooth®通信で送信し
て可視化するものとした.本システムは,胸
骨圧迫の速さ,1分間の胸骨圧迫回数および,
CCF(胸骨圧迫比率)を表示するものとした.
なお,計測プログラムはPythonで作成した.
本研究で作製したシステムで胸骨圧迫の練
習をおこなったところ,胸骨圧迫の深さの評価
には課題が残るものの,胸骨圧迫の速さ, CCF
を遠隔で評価できるようになった.一般市民向
けの講習会では,1分間に100 ~ 120回のリズ
ムで胸骨圧迫する様子を第三者が評価したり,
音楽やメトロノームのリズムで評価してもらっ
ているが,このシステムを利用すれば,1人で
も定量的に胸骨圧迫の手技を評価することが可
能となる.
なお,本研究はJSPS科研費 21K02818の助成
を受けたものである.
引用
[1] 一般社団法人ファストエイド,https://
www.fastaid.co/,( 参照2022-02-24).