14:40 〜 14:50
[5] 非侵襲的陽圧換気療法における医療機器関連圧迫創傷防止のための実験的検討
【背景】
非侵襲的陽圧換気(NPPV)は,慢性閉塞性
肺疾患などの呼吸不全における治療法として広
く用いられる一方,NPPV療法中の医療機器関
連圧迫創傷(MDRPU)事例が散見されている.
【目的】
今回,NPPV療法中の各種条件とMDRPU好
発部位である頸部ストラップ下における剪断力
や圧力との関係について,模型モデルによる検
討をおこなった.
【方法】
気管チューブを経由しテスト肺を接続した
人型模型にNPPVマスクを装着した.人工呼吸
器換気モードはA/C,換気回数は15回/分,I:
E比を1:3に設定した.ストラップ固定長や
ドレッシング材使用の有無,換気量,PEEP等
を変化させたときの頸部ストラップ下にかかる
剪断力や圧力を計測し,これらとの関連性につ
いて調べた.
【結果】
ドレッシング材使用によりストラップ下の
剪断力平均値(無:1.5±1.0(N),有:0.5±0.4
(N))や圧力平均値(無:8.4±2.0(mmHg),有:7.0
±2.3(mmHg))は有意(P<0.05)に小さくなっ
ていた.重回帰分析では,ストラップ下の初期
せん断力とPIPや初期剪断断力,ドレッシング
材の有無に関連が見られ,圧力とPIPや初期剪
断力,初期圧力との間に関連が見られた.
【考察・結語】
MDRPUは医療材料の自重が組織下にかかる
のみならず,剪断力により真皮や毛細血管網の
変形から血管径が縮小し,虚血を生じることに
よって発生するともいわれている.結果より,
本モデルにおいてマスク取り付け時の頸部にか
かる剪断力や圧力は,換気中の気道内圧が大き
いほど換気中にストラップが引き延ばされ,頸
部にかかる剪断力や圧力を大きくするが,ド
レッシング材の使用により剪断力の軽減を図れ
ることが示唆された.NPPV導入患者は浮腫な
どにより組織が脆弱なことに加え,呼吸苦や圧
迫感が強く,装着に苦慮することも多い.臨床
での測定は困難であり,模型モデルによる検証
や要因分析は適正な使用条件・介入条件を見つ
け出すための有用な方法のひとつになりうると
思われる.
非侵襲的陽圧換気(NPPV)は,慢性閉塞性
肺疾患などの呼吸不全における治療法として広
く用いられる一方,NPPV療法中の医療機器関
連圧迫創傷(MDRPU)事例が散見されている.
【目的】
今回,NPPV療法中の各種条件とMDRPU好
発部位である頸部ストラップ下における剪断力
や圧力との関係について,模型モデルによる検
討をおこなった.
【方法】
気管チューブを経由しテスト肺を接続した
人型模型にNPPVマスクを装着した.人工呼吸
器換気モードはA/C,換気回数は15回/分,I:
E比を1:3に設定した.ストラップ固定長や
ドレッシング材使用の有無,換気量,PEEP等
を変化させたときの頸部ストラップ下にかかる
剪断力や圧力を計測し,これらとの関連性につ
いて調べた.
【結果】
ドレッシング材使用によりストラップ下の
剪断力平均値(無:1.5±1.0(N),有:0.5±0.4
(N))や圧力平均値(無:8.4±2.0(mmHg),有:7.0
±2.3(mmHg))は有意(P<0.05)に小さくなっ
ていた.重回帰分析では,ストラップ下の初期
せん断力とPIPや初期剪断断力,ドレッシング
材の有無に関連が見られ,圧力とPIPや初期剪
断力,初期圧力との間に関連が見られた.
【考察・結語】
MDRPUは医療材料の自重が組織下にかかる
のみならず,剪断力により真皮や毛細血管網の
変形から血管径が縮小し,虚血を生じることに
よって発生するともいわれている.結果より,
本モデルにおいてマスク取り付け時の頸部にか
かる剪断力や圧力は,換気中の気道内圧が大き
いほど換気中にストラップが引き延ばされ,頸
部にかかる剪断力や圧力を大きくするが,ド
レッシング材の使用により剪断力の軽減を図れ
ることが示唆された.NPPV導入患者は浮腫な
どにより組織が脆弱なことに加え,呼吸苦や圧
迫感が強く,装着に苦慮することも多い.臨床
での測定は困難であり,模型モデルによる検証
や要因分析は適正な使用条件・介入条件を見つ
け出すための有用な方法のひとつになりうると
思われる.