第97回日本医療機器学会大会

講演情報

一般演題

臨床工学

臨床工学

2022年6月3日(金) 14:00 〜 15:00 第2会場 (アネックスホール F203)

座長:加藤 伸彦(北海道情報大学)

14:50 〜 15:00

[6] ME 機器の時刻誤差における影響要因分析 (第2報)

渡邊 雅俊1,2, 加藤 佳祐1 (1.国家公務員共済組合連合会東海病院 臨床工学科, 2.名古屋市立大学大学院経済学研究科研究員)

【背景・目的】
われわれは医療機器学Vol.88,No.1で,ME
機器の時刻誤差の実績値データからクラスター
分析を含む統計解析をおこない,分析結果の一
部を考慮した当施設における対応策を報告し
た.第94回学術大会の報告においては,ME機
器の時刻誤差を及ぼすと考えられる影響要因と
して,使用・保存環境の温湿度変化とディフィ
ブリレータの放電点検による高圧大電流に着目
したが,直接的な影響は明確に見出せなかった.
本研究の目的は,後者の先行研究を精査し,医
療機器安全管理責任者の観点から,ME機器の
適正な時刻管理のあり方を検討した.
【方法】
ディフィブリレータの放電点検による高圧
大電流が時刻誤差に関与しているかを検証し
た.研究対象は,当施設が保有しているディフィ
ブリレータ7台(TEC-5600シリーズ,日本光
電社製)とした.測定項目は,内部・外部放
電点検による14段階(2,3,5,7,10,15,
20,30,50,70,100,150,200,270J) の出
力エネルギーとした.
【結果】
内部・外部放電点検ともに,高圧大電流の影
響による時刻誤差は,すべて0秒であった.相
関分析により,内部・外部放電点検による出力
エネルギーと時刻誤差には関連性がないことが
認められた.
【考察】
時刻誤差を及ぼす影響要因の1つとして考
えられるディフィブリレータの放電点検につい
て精査したところ,今回のリスク分析では高圧
大電流の影響がないという有用な知見が得られ
た.サンプル数を増やして分析する必要がある
が,本研究の結果は当施設での管理方針の判断
材料になるであろう.すなわち,医療機器学
Vol.88,No.1で述べた「ME機器の時刻誤差は,
経験的に言われる電子機器の耐用期間6年を境
に壁があり,重点的な保守管理や機器の更新が
必要である」は,信憑性が高く1つの指標とな
ることが示唆される.さらに,時刻誤差に係る
調査,把握を進め,有効性と安全性を科学的な
リスク分析により評価することが今後の研究課
題である.