第97回日本医療機器学会大会

講演情報

一般演題

トレーサビリティ

トレーサビリティ

2022年6月4日(土) 10:30 〜 11:20 第4会場 (アネックスホール F204)

座長:久保田 英雄(東京医科歯科大学)

11:10 〜 11:20

[74] ローカル/ GS1-128 バーコード利用における医療材料発注・納品ミス傾向の比較分析研究

酒井 順哉1, 植村 康一2, 黒澤 康雄3, 久保田 英雄4, 白石 裕雄5, 住谷 健二6, 戸畑 裕志7, 中野渡 寛之8, 並木 秀文9, 美代 賢吾10, 村田 昭夫11, 安田 大冴1 (1.名城大学大学院都市情報学研究科保健医療情報学, 2.一般財団法人流通システム開発センター, 3.東京医療保健大学医療保健学部, 4.東京医科歯科大学病院 材料部, 5.一般社団法人日本自動認識システム協会, 6.ミズホ㈱, 7.九州保健福祉大学生命医科学部, 8.㈲東奥電気, 9.日本医療機器販売業協会システムプロジェクト, 10.国立国際医療研究センター, 11.㈱エムエス)

【目的】
(一社)日本医療機器学会は,一般病床300床
以上の病院912施設を対象に医療材料の発注・
検品の実態および医療現場におけるバーコード
利活用に関する調査を実施し,多くの病院が電
話やFAXによる発注で医療現場のバーコード
利用は主に医事請求漏れ防止に使われているこ
とを明らかにした.
本研究は先行調査の対象病院を,院内やSPD
業者で独自に作成した「ローカルバーコード群」
と,厚生労働省や医療機器業界が推奨している
「GS1-128バーコード群」に大別し,用度・調達
課における発注方式に伴う発注ミスや納品時の
検品方式から,GS1-128の有用性について検討
した.
【方法】
調査対象を「ローカルバーコード群(92施設)
と「GS1-128バーコード群(39施設)」に大別し,
発注時の商品コード種類,納品時の現品照合方
法,納品された医療材料が注文品と違う頻度か
ら,両群でバーコード利活用にどの程度の差異
があるかを分析した.
【結果】
用度・調達課の発注・納品・検品等を分析し
た結果,以下のことがわかった.
1) 発注時の商品コードは,「病院/ SPD独自
コード」が6割で使用され,商品識別コー
ドGTINの利用は2割程度に留まっていた.
2) 納品時の現品照合は,GS1-128群に対して,
ローカルバーコード群は品名・数量などの
発注情報とのバーコード照合率が半数程度
で,目視確認が多く,チェック体制に疑問
がある.
3) 納品された医療材料が注文品と違う発生頻
度を比較したところ,ローカルバーコード
群での「販売業者の納品ミス」が多く発生
しており,その原因は単に納品ミスではな
く,発注コードが販売業者で扱われるコー
ドと異なり整合性がないことに起因すると
推測した.
【考察・まとめ】
分析結果からバーコードの運用実態として
ローカルバーコード群は,発注・検品において
コード未使用,目視等の手作業などにより発注・
納品ミスが多いため,この改善にはGTINと
GS1-128バーコードの利用が必要であろう.