10:30 〜 11:10
[教育講演3] コロナ禍におけるゾーニングと体制整備:当院におけるブリコラージュ
新型コロナウイルスのパンデミックが始まって、はや2年半が経過しようとしている。現在ではワクチンも開発され、日常生活との共存に向けた動きも世界的に本格化しているが、2020年春の第1波到来時は得られる情報も限定される中で、当院においても海外での情報を参考にしながら、手探りで受入準備を進める必要があった。東京医科歯科大学病院では「患者と仲間達をコロナから守る」という執行部の決意に応じる形で、大学一丸となって準備を進め、結果的には現在に至るまで重症患者を中心とした国内トップクラスの受入患者数を診療するに至った。その舞台裏では「責めるより応援する」を合言葉に、様々な多領域連携と試行錯誤が行われてきた経緯があった。本講演においてはコロナ禍における当院での対応を振り返った上で、得られた教訓と今後の展望を共有し、聴衆の皆様との議論の礎としたい。
振り返ると、第1波においては海外における惨状が聞こえてくる中で「どこまで患者が増えるのか」「患者受入のボトルネックは何か」「足りないものや人はどう補うか」といった多数の分からない事が溢れる中で、指揮命令系統の確立、突貫工事の病棟ゾーニングや外来整備などと並行して、感染防護具を始めとした各種物品確保と使用見通しの推計に奔走する日々であった。当時に重要であったことは「完璧を目指すのではなく、朝令暮改を良しとする」「現場における自律と協調の尊重、整合性は後で考える」「部門の枠を超えた、横断的な情報共有体制の確立」などであり、感染防護具の在庫数などについても積極的に情報共有を行った。
第1波における様々な教訓から再整備を行う最中で第2波は訪れたが、対応と並行して、突貫工事のゾーニングによって発生した、病棟における消防法を始めとした法律面や、スタッフのメンタルヘルスケアーの側面、といった課題に向き合った形で各種改良を加えた。
第3波以降は持久戦を見据えた通常診療との両立、そして感染者増加時の迅速な体制切替が一貫したテーマとなっており、職員の体調不良時対応や持続可能なコロナ診療支援体制などが徐々に整備された。かつて無い患者数を経験した第6波を終えた抄録執筆時現在においては、当院における精緻であるも複雑化かつ厳格化した、膨大な院内ルールを大胆に整理し、いかにして通常診療が円滑に進められるかを優先課題としている。
我々が経験しているパンデミックは未曾有の災害であるが、その中では有り物で間に合わせること (ブリコラージュ)、周辺状況によってゴールを時々で変えて対応すること、多職種連携を大事にすること、などが大きな経験として得られてきた。加えて、感染予防に伴う様々な制約は現在も続いているが、制限が多い中でIT技術などを活かしたシステムの進化も多く現場に導入された。今こそ「復旧」ではなく「復興」に向けて取り組む時期であり、「日本から未来へ」向けた多くのイノベーションが求められる。
振り返ると、第1波においては海外における惨状が聞こえてくる中で「どこまで患者が増えるのか」「患者受入のボトルネックは何か」「足りないものや人はどう補うか」といった多数の分からない事が溢れる中で、指揮命令系統の確立、突貫工事の病棟ゾーニングや外来整備などと並行して、感染防護具を始めとした各種物品確保と使用見通しの推計に奔走する日々であった。当時に重要であったことは「完璧を目指すのではなく、朝令暮改を良しとする」「現場における自律と協調の尊重、整合性は後で考える」「部門の枠を超えた、横断的な情報共有体制の確立」などであり、感染防護具の在庫数などについても積極的に情報共有を行った。
第1波における様々な教訓から再整備を行う最中で第2波は訪れたが、対応と並行して、突貫工事のゾーニングによって発生した、病棟における消防法を始めとした法律面や、スタッフのメンタルヘルスケアーの側面、といった課題に向き合った形で各種改良を加えた。
第3波以降は持久戦を見据えた通常診療との両立、そして感染者増加時の迅速な体制切替が一貫したテーマとなっており、職員の体調不良時対応や持続可能なコロナ診療支援体制などが徐々に整備された。かつて無い患者数を経験した第6波を終えた抄録執筆時現在においては、当院における精緻であるも複雑化かつ厳格化した、膨大な院内ルールを大胆に整理し、いかにして通常診療が円滑に進められるかを優先課題としている。
我々が経験しているパンデミックは未曾有の災害であるが、その中では有り物で間に合わせること (ブリコラージュ)、周辺状況によってゴールを時々で変えて対応すること、多職種連携を大事にすること、などが大きな経験として得られてきた。加えて、感染予防に伴う様々な制約は現在も続いているが、制限が多い中でIT技術などを活かしたシステムの進化も多く現場に導入された。今こそ「復旧」ではなく「復興」に向けて取り組む時期であり、「日本から未来へ」向けた多くのイノベーションが求められる。