第97回日本医療機器学会大会

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Fri. Jun 3, 2022 3:15 PM - 3:45 PM ポスター会場 (アネックスホール フォワイエ)

[P2] 腹水濾過濃縮用装置の使用報告

鈴木 祥仁1, 齋藤 夏実1, 守屋 賢志1, 袴田 貴大1, 福岡 慧也1, 佐藤 元美2 (1.新城市民病院 医療技術部 臨床工学課, 2.新城市民病院 腎臓内科)

【目的】
当院でも,難治性腹水症例に対して腹水濾過
濃縮再静注法(以下CART)を実施している.
施設により,その処理方法は様々であり,安全
性については,不明である.最近では,CART
専用装置も開発されている.今回,カネカメ
ディックス社製,腹水濾過濃縮用装置e-CART
を使用する機会を得たため報告する.
【方法】
対象患者は,84歳女性,原疾患は肝硬変.腹
水濾過器,腹水濃縮器にマスキュアフィルタを
使用し,腹水濾過は陰圧ポンプ式,腹水濃縮は
陽圧ポンプ式で実施した.CART前後の患者の
体温変化,TP・Alb回収率,細胞数などを比
較した.
【結果】
原腹水量は4.3L,回収量は0.45Lであった.
回収率はTP82.0%,Alb70.6%であった.細胞
数は233から4まで低下した.再静注による体
温変化は+0.6℃であった.
【考察】
今回,初めてCART専用装置を使用し実施し
た.今までは,KM-CART,血液浄化装置など
を使用し実施していたが,e-CARTはコンパク
トな本体と3か所の圧力モニタリングによって
腹水濾過器,濃縮器の状態が確認することが可
能である.また,ローラーポンプは,逆回転も
可能なため,濾過器の膜洗浄を実施することが
可能であり,回路のクリップの使用方法によっ
て汎用性が高いと思われる.症例数が少ないた
め,回収率の優劣は不明であるが安全にCART
が施行できたと考える.今後も引き続き,製品
の特長などを理解し手技・患者の状態・腹水の
性状などにより有効性を検討したい.