第97回日本医療機器学会大会

講演情報

ポスター演題

ポスター演題

2022年6月3日(金) 15:15 〜 15:45 ポスター会場 (アネックスホール フォワイエ)

[P3] 輸液ポンプ更新時における保有台数削減に向けた運用対策

北原 良明1, 上竹 立真1, 樽井 滋郎1, 宇津木 哲1, 堀 浩2 (1.偕行会名古屋共立病院 臨床工学課, 2.偕行会名古屋共立病院 総合内科)

【目的】
輸液ポンプの保有台数は病院規模や形態な
ど取り巻く環境により大きく異なる.当院は
ベッド数186床(透析室と化学療法室を含む)
を有する中規模の急性期病院であり,これまで
輸液ポンプを110台保有し中央管理で運用して
きた.2021年3月に輸液ポンプの新規更新を
ベッド数の約1/3にあたる65台での運用を目
標とし評価と対策をおこなったので報告する.
【方法】
検討期間は輸液ポンプの更新前後6ヶ月間
とし,貸出・返却履歴を管理システムから抽出
して貸出台数および貸出率,在庫台数,経過日
数を比較した.更新後の輸液ポンプについては
ヒストリ機能で動作履歴を取得し,実際の稼動
時間の確認をおこなった.
【結果】
輸液ポンプの貸出率は更新前後で59.8%から
87.6%に増加した(p<0.05).全病棟における
平均経過日数は更新前が21.0±53.7日,更新後
が22.4±69.0日で差を認めなかった(p=0.41).
輸液ポンプ更新後の在庫台数は平均8.0±4.4台
であり,在庫台数が不足した日が検討期間中に
15日間存在した.また,ヒストリ機能で取得し
た輸液ポンプ稼動時間の中央値は54.5±448.1分
であった.
【考察】
輸液ポンプ貸出率の増加は,保有台数を大
幅に削減したことに加えて使用状況が大きく影
響していると考えられる.特に透析室や化学療
法室では多くの輸液ポンプが常設状態となるた
め,直近の使用台数を数値化し適正台数の評価
を定期的におこなうことは必須と考えられる.
ヒストリ機能で得られた輸液ポンプ稼働時間
は30 ~ 60分の範囲での動作履歴が多く,抗生
剤等の単回輸液での使用が予測された.そのた
め,輸液ポンプの適正使用に向けた教育を看護
師と協働でおこなうことで安定した運用が可能
になったと考えられる.
【結語】
輸液ポンプの貸出率と経過日数の評価,ヒス
トリ機能による実際の稼動時間を総合的に評価
することは運用対策として重要である.