第97回日本医療機器学会大会

講演情報

ポスター演題

ポスター演題

2022年6月3日(金) 15:15 〜 15:45 ポスター会場 (アネックスホール フォワイエ)

[PT7] 現場サイドの負担が少ない手術器械個体管理システムの導入手法

中野渡 寛之 (㈲東奥電気)

【背景】
手術器械個体管理システム(以下UDIシステ
ム)は,その重要性が認識されていながら国内
での普及が進んでいない.その理由として,シ
ステム導入費用の予算確保が難しいこと,個体
管理することで手間が増える懸念から現場側の
抵抗を受けること,この二つが主な課題として
考えられる.弊社は2015年に医療事業へ参入
し,一貫してUDIシステムと専用リーダ開発に
取り組んできた.2022年1月現在では,全国的
に10 ヶ所以上の大規模病院へUDI専用リーダ
導入を達成しており,実践経験を基に現場サイ
ドの負担が少ないUDIシステム導入手法につい
て私見を述べる.
【目的】
医療関係者にUDIシステムの具体的な導入手
順の実例を提供することにより,UDI普及拡大
を図る.
【手法】
解決策は小さく始めることである.一般に
500床クラスの病院では,院内に数万本の器械
が存在するといわれている.その全てにマーキ
ングを実施することは,誰もが容易でないと想
像がつくだろう.しかし,新規で購入する器械
はメーカやディーラに依頼できる場合もある
し,マーキング装置を院内に据え付けておけば,
購入時直ぐにマーキングすることができる.新
規だけでもマーキングして,慣れてきたら特定
のセット(例えばラパロセット限定),特定の
診療科といった具合に少しずつマーキングして
いく形でも,実際に管理効率を向上させた病院
がある.マーキングの読取も,いきなり全ての
履歴を追うのではなく,マスタ登録,修理,買
い替え時などに限定してスキャンをする形をと
れば,小システムで予算的にも作業負荷的にも
軽く済み,経営側・現場側ともに受け入れやすい.
【結言】
国内でのUDIシステムに対する経済的・心理
的ハードルは高いが,導入の仕方次第で懸念を
解消することができる.是非UDIシステムを活
用して頂き,医療安全や作業の効率化に役立て
て頂きたい.