15:25 〜 15:40
[シンポジウム10] 眼科手術における3D映像手術システムの現状と未来
眼科における3D映像手術システムは、従来の眼科用顕微鏡下での手術において鏡筒を覗く姿勢から対比する形で、Heads-up surgery(以下HUS)システムともよばれている。HUSシステムは、この数年で本格的なデジタル手術プラットフォーム機器として登場し、現在では複数の機器が上市され、いずれも独自の機能・特性を有し洗練されたデバイスとなっている。HUSのメリットは、デジタル映像処理により、アナログ顕微鏡で対応できない画像処理を行うこと、3Dモニターを共有することによる教育的効果、術中状況と術前画像検査・計測値データとの融合、そして顕微鏡の鏡筒を覗かずに手術ができる術者自身の身体的負担の軽減である。リアルタイムで行うデジタル映像処理技術は、観察系および照明系に直接影響を与え、それらは例えば低照度での手術など、手術の低侵襲化にもつながっていく。また画像パラメーターを変えることで、術者毎に、よりカスタマイズされた眼内の観察も可能である。その特性を利用することにより、手術で遭遇する混濁・出血・膜など、バラエティに富んだ病理を術中に観察し、即座に病態を把握することが可能となる。一方で注意点もいくつか存在する。レイテンシーはその代表ともいえるが、それ以外にもHeads-up surgeryは人為的な立体空間を観察するため、両眼視差を利用している点にも注意が必要である。本講演では、眼科3D手術システムの基本テクノロジーを紹介し、将来的に我々の手術がどのような方向性へ進んでいるのか、皆様と共有したいと考えている。