第97回日本医療機器学会大会

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Symposium

シンポジウム10 手術映像記録システムの現状と未来

Sat. Jun 4, 2022 3:10 PM - 4:40 PM 第2会場 (アネックスホール F203)

座長:長瀬 清(岐阜大学),釈永 清志(富山大学)

3:40 PM - 3:55 PM

[シンポジウム10] 手術手技教育における既存習慣のリセット

鈴木 薫之 (㈱OPExPARK)

2020年から一般社会では「既存習慣のリセット」が始まっており、リモートワーク推奨はその典型といえる。医療業界も例外はなく、既存の価値観にとらわれず、業界全体の見直しが行われつつある。テクノロジーの進化、新型コロナウイルスの影響により、オンライン診療、スマートクリニック、生活習慣病の治療アプリ等の促進がその証拠である。一方でアナログな世界観から大きく変わらず推移している領域もあり、その例として手術教育がある。AI医療、ロボット手術の遠隔支援・自動化での治療ソリューションデジタル化の可能性はあるが、実装はまだ先であり手術教育の必要性は疑いがない。手術手技向上において、経験に勝るものがないことは皆異論ないが、カンファレンスが経験共有の場として教育面で非常に重要なことも異論ない。ただ、手術を実施したチームで時間をかけて事前準備し、参加者に手術のポイントを解説後、参加者からの質問・指摘を受けて研鑽にあてるこのカンファレンス形態に関して、数十年間方法を変更せず行われていることは珍しくない。2024年から始まる医師の働き方改革により皺寄せがくる領域である。結果として手技現場や従来のカンファレンスで学ぶ機会が大きく減っていくと今後想定される。そこで、今回手術映像と音声を活かした新たな手術教育機会の創出を与えるシステムを紹介したい。外来診療・入院病棟での音声認識を利用した業務の効率化は実施されている施設も珍しくないが、日本では検査・治療での音声認識はまだ十分実用化はされていない。手術手技教育分野でのテクノロジーを用いて、医師の働き方改革を促進しながら教育効果も高めることでの医療の質向上/医療安全の担保へ繋がる将来を考察したい。