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[シンポジウム11] 医師の立場から
2019年12月に中国武漢で報告された新型コロナウィルス感染症は、翌年2月のダイヤモンドプリンセス号におけるアウトブレークを間に挟んで、当院でも本格的な陽性患者受け入れが4月から開始された。受け入れに際して重要視されたポイントは、(1)感染患者と非感染者の線引き(2)陽性患者および疑い患者を対象とするゾーニングと必要な設備(3)陽性患者に対するケアの際に必要な感染防護具のリストアップとその必要数の確保であった。しかしながら、初期においては、これらに必要な検査試薬、設備及び感染防護のために必要なディスポ材料のいずれもが供給不足に陥り、対応に苦慮することになった。医療の先進国である欧米で、人工呼吸器が不足する事態に陥ったとの報道を受けたことに衝撃を覚えたことは記憶に新しい。このように、「生命を脅かす未知な感染症の脅威」への対応が、初期にどのようにおこなわれたかを振り返りながら、今後の同様な事態への対応について考える機会としたい。