第98回日本医療機器学会大会

講演情報

一般演題

洗浄

洗浄1

2023年6月30日(金) 09:00 〜 10:10 第3会場 (アネックスホール F205+F206)

座長:河野 太郎(宮崎大学)

09:00 〜 09:10

[1] 下水道排水基準(pH)に適合する2種類の洗浄剤の開発

栗木 恭治1, 牧尾 健司2, 濱本 統久2, 橋本 佳子2, 三軒 久義2 (1.㈱フェニックス, 2.医療法人三軒医院)

【背景】
2017年度に東京都で下水道施設の損傷事故が発生した.その調査結果より,透析施設から排出される酸性排水がコンクリートを腐食させていることが判明し,厚生労働省,国土交通省,日本透析医会などより注意勧告となる事務連絡が発行された.
本来,これらの排液は除害施設(中和処理装置など)を用いて処理されるべきだが,その設置には,各施設特有の問題があり解決されていないのが現状である.
【目的】
一般的な下水道排水における水素イオン濃度(pH)は,5を超え9未満となっているが,透析施設で使用する洗浄・消毒剤は,強アルカリ(pH10 ~ 12)の塩素剤などと,強酸性(pH1~2)の酢酸などを用いていることにより,そのまま下水道への排水はpH基準値を逸脱してしまう.
今回 我々は,pH排水基準に適合する薬剤の開発をおこなったので報告する.
【方法】
従来の次亜塩素酸Naに添加してpHの低下とともに,塩素濃度を可能な限り保持する薬剤の開発と,酸性溶液による炭酸Ca スケール除去能力以外の薬剤開発をおこない,約2年間の臨床使用を続け,その評価を実施した.
【結果】
考案した薬剤2種は,下水道排水基準のpHに適合し,臨床使用における問題も少なく,使用者が扱いやすい方法を考案しながら,さらに長期の使用を続け観察することとする.