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[101] 医療機器保存のススメ
医療機器は今も昔も医療者にとっては欠かせない相棒である.しかし,どんなに愛着を持って使用していた機器でも耐用年数を過ぎると廃棄され,その機器が持っていた資料的価値や歴史的意義も霧散してしまう.廃棄される医療機器の全てを現物として保存することは空間的・金銭的にも不可能であるが,写真にして電子的に保存すること,カタログやパンフレットを保存することは可能である.浜松医科大学麻酔科ではホームページ上にThe virtual museum of anesthesia を作成し,1,000点以上の失われゆく麻酔関連機器の写真を遺している.The virtual museum of anesthesiaに保存された写真や機器の情報は,教育目的の講義や講演に用いられ,教科書などにも広く引用されている.インターネット上に写真を保存公開することは,個人でも近年特に簡単になっているため,有志の手によって様々なジャンルの失われていく医療機器の写真が遺されていくことを期待したい.古い医療機器のうち特に古い物や歴史的に意義がありそうな物品は,博物館への寄贈を考慮していただきたい.医療機器学会が後援する「印西市立印旛医科器械歴史資料館」 https://ikakikai-hozon.org/ や日本麻酔科学会が運営する「麻酔博物館」https://anesth. or.jp/users/common/museum などでは古い医療機器の寄贈を受け付けている.また,医療機器の博物館へ訪問したことがない方には訪問を是非お勧めしたい.古い医療機器が保存されることの重要性や意義を感じることができるものと確信している.学会や関係団体が実物の博物館を設立して古い医療機器を保存することが理想ではあるが,個人でも電子的に保存することは可能であるため,愛着ある医療機器が廃棄される際には保存していただければ幸いである.