第98回日本医療機器学会大会

講演情報

一般演題

滅菌業務管理

滅菌業務管理2

2023年6月30日(金) 17:00 〜 18:00 第3会場 (アネックスホール F205+F206)

座長:濱中 郁恵(大阪大学)

17:50 〜 18:00

[29] 滅菌切れ器材の減少に向けた取り組み

久保 真樹 (医療法人札幌麻生脳神経外科病院)

【背景】
当院では,滅菌物の安全保存期間をTRSM(Time-Related-Sterility-Maintenance: 時間依存型)にて管理をしており,月1回の滅菌期限切れ(以下日切れ)器材チェックでは,毎回多くの日切れ器材が発生していた.日切れ器材は再包装・再滅菌が必要となるため,再包装による滅菌バックの無駄を省くための取り組みを開始した.
【目的】
日切れ器材個数の減少を図り,滅菌バックの廃棄量および使用量の削減につなげることを目的とした.
【方法】
取り組みは,日切れで廃棄した滅菌バッグの種類と長さの測定から開始した.日切れ器材の内容と使用医師の記録をおこなうとともに,日切れを繰り返している器材は医師に確認後,必要時のみの滅菌とした.また,使用頻度が低い器材は2重包装として,滅菌期限を1年間へ延長した.期限を延長した滅菌器材の使用実績が1年間なかった器材については,安全保存期間をERSM(Event- Related-Sterility- Maintenance:事象依存型)へ変更した.
【結果】
2018年の年間日切れ器材個数は月平均45個であったが,2021年には28個へと減少した.日切れで廃棄した滅菌バックの金額換算では, 2018年は月平均5,870円であったが,2021年には4,502円となった.また,滅菌バックの納入金額は,2018年の263,563円から,2021年には 235,833円となり,使用量が削減された.
【考察】
毎月の日切れ器材チェックの際,“通常包装(3ヶ月)で可能な器材”と“2重包装で1年滅菌とする器材”の選別と指示を継続しておこなった結果,日切れ器材の減少を図ることができた.現在では作業内容の指示がなくても,スタッフが自発的に使用頻度の低い器材を選別し,2重包装・1年滅菌へ変更するようになっていることから,さらなる個数の減少が期待される.今後は,使用しない器材を繰り返し洗浄・滅菌しないことでの劣化の防止や,器材の修理回数・金額の削減につながっているかの検証が必要である.