10:30 〜 10:40
[38] 自動血球計数器のスキャッタグラムの有用性:早期診断が可能となった急性白血病の一例
【背景】
血算は血液疾患のみならず,多くの疾患の診断・病態解析に関わる基本的検体検査として広く用いられる.血算測定に用いられる自動血球計数器は基本的性能の向上が著しく,現在は1検体あたりおよそ1分で,多くの測定項目が測定できる.血球数測定の基本的な測定原理は電気抵抗法であるが,近年では血球数測定にもフローサイトメトリー法が利用されている.今回,スキャッタグラムの観察により早期診断が可能となった急性白血病の一例を報告する.
【症例】
40歳代男性.呼吸困難の増悪を認め,心不全増悪,心筋症の診断で他院入院となった.心不全に対する治療反応性が不良で,また入院中に白血球数の増加も認めたため血液疾患の合併も考えられたため,当院に転院となった.
【検査所見】
WBC 88.8×109/L,RBC 2.97×1012/L,Hb10.0 g/dL,PLT 95×109/Lと白血球数の増加,貧血,血小板数の減少を認めた.白血球分画の機械値は分類不能であった.生化学検査では Alb 2.3 g/dLと低値,BNP 1974 pg/mL,CRP
3.76 mg/dLと高値であった.白血球増加を認めたためスキャッタグラムを確認したところ,リンパ球と単球の領域が連続した異常分布を示していた.塗抹標本を作製し血液像を確認したところ,芽球を80.0%認めた.骨髄像では,大型で細胞質は比較的広く好塩基性,核網繊細な MPO陽性,非特異的エステラーゼ陽性の芽球を84.4%認めた.細胞表面マーカー検査,染色体検査,遺伝子検査の結果をあわせて,急性単球性白血病と診断された.
【まとめ】
スキャッタグラムの観察により早期診断が可能となった急性白血病の一例を経験した.自動血球計数器のスキャッタグラムの活用は,血液疾患の迅速な診断につながると考えられる.
血算は血液疾患のみならず,多くの疾患の診断・病態解析に関わる基本的検体検査として広く用いられる.血算測定に用いられる自動血球計数器は基本的性能の向上が著しく,現在は1検体あたりおよそ1分で,多くの測定項目が測定できる.血球数測定の基本的な測定原理は電気抵抗法であるが,近年では血球数測定にもフローサイトメトリー法が利用されている.今回,スキャッタグラムの観察により早期診断が可能となった急性白血病の一例を報告する.
【症例】
40歳代男性.呼吸困難の増悪を認め,心不全増悪,心筋症の診断で他院入院となった.心不全に対する治療反応性が不良で,また入院中に白血球数の増加も認めたため血液疾患の合併も考えられたため,当院に転院となった.
【検査所見】
WBC 88.8×109/L,RBC 2.97×1012/L,Hb10.0 g/dL,PLT 95×109/Lと白血球数の増加,貧血,血小板数の減少を認めた.白血球分画の機械値は分類不能であった.生化学検査では Alb 2.3 g/dLと低値,BNP 1974 pg/mL,CRP
3.76 mg/dLと高値であった.白血球増加を認めたためスキャッタグラムを確認したところ,リンパ球と単球の領域が連続した異常分布を示していた.塗抹標本を作製し血液像を確認したところ,芽球を80.0%認めた.骨髄像では,大型で細胞質は比較的広く好塩基性,核網繊細な MPO陽性,非特異的エステラーゼ陽性の芽球を84.4%認めた.細胞表面マーカー検査,染色体検査,遺伝子検査の結果をあわせて,急性単球性白血病と診断された.
【まとめ】
スキャッタグラムの観察により早期診断が可能となった急性白血病の一例を経験した.自動血球計数器のスキャッタグラムの活用は,血液疾患の迅速な診断につながると考えられる.