第98回日本医療機器学会大会

講演情報

一般演題

検査・呼吸機器

検査・呼吸機器

2023年6月30日(金) 10:20 〜 11:20 第4会場 (アネックスホール F204)

座長:真茅 孝志(純真学園大学)

10:50 〜 11:00

[40] 当院における加温加湿器インシデント減少の道のり

加藤 孝昭1, 余語 南海1, 藤井 雄介1, 土田 祐輝1, 相木 一輝1, 中村 智裕1, 一柳 宏1, 梅村 朋2, 野口 悟司3, 藤原 道隆3 (1.名古屋大学医学部附属病院 臨床工学技術部, 2.名古屋大学医学部附属病院 患者安全推進部, 3.名古屋大学医学部附属病院 医療機器総合管理部)

【背景】
人工呼吸器使用中の加温加湿方法には,主に加温加湿器と人工鼻がある.管理が簡便な人工鼻に比べ,加温加湿器は高性能だが,管理が複雑であるため定期的にインシデント事例が発生している.2018 ~ 19年に当院で発生した加温加湿器関連のインシデント報告は62件であり,その発生部署は一般病棟28件(45.2%),外科系集中治療部(SICU)20件(32.2%)だった.
【目的】
今回は人工呼吸器の使用数および検査等で移動(加温加湿器と人工鼻の切り替え)の多い SICUにおける加温加湿器関連インシデント発生率減少を目的とした.
【方法】
調査期間は2020 ~ 22年,SICUで発生した加温加湿器関連のインシデントを収集し,パレート図を用いて要因を検索した.これに対する対策を検討して実施した.またC管理図を用いて発生状況を後方的に調査した.
【結果】
インシデント発生件数は29件だった.内訳は検査等から帰室後の“加温加湿器電源入れ忘れ”が13件(44.8%)と最も多く,次いで“人工鼻と加温加湿器併用”9件(31.0%)であった.共通する要因として帰室後に看護師が実施するチェック項目に,加温加湿器関連項目がないことが考えられた.そこで2021年9月より帰室後に加温加湿器の電源確認を担当する看護師を決め,加温加湿器の安全使用について講習会等を定期的に開催したところ,2020年9件,2021年 19件(月別最多10件)から2022年は1件と95%減少した.さらにC管理図の異常判定も発生しなかった.
【考察】
インシデント発生の要因を分析し,対策を講じたことにより,最も発生件数が多い“加温加湿器電源入れ忘れ”の大幅な減少に繋がったと考える.
【おわりに】
大学病院では,頻回な人事異動等により周知が困難なため,一般にインシデントを著明に減少させることは難しいと考えられるが,大幅な減少を達成できた.今後とも,他のインシデントについても検討,対策するとともに,インシデント発生率減少の維持を目指していきたい.