第98回日本医療機器学会大会

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Oral presentation

滅菌

滅菌1

Sat. Jul 1, 2023 9:00 AM - 9:50 AM 第3会場 (アネックスホール F205+F206)

座長:大川 博史(東京大学)

9:40 AM - 9:50 AM

[68] 高圧蒸気滅菌器の適格性再確認における無負荷チャンバー内温度分布変化の可視化

町田 英樹, 大川 博史, 間平 珠美, 深柄 和彦 (東京大学医学部附属病院 材料管理部)

【背景】
高圧蒸気滅菌器の定期保守点検後の無負荷チャンバー内温度分布測定は,滅菌プロセスの適合性が損なわれていないことを確認するために必要である.当院では保有する滅菌器に対しデータロガーを使用し1年毎に測定を実施しているが,測定点の温度変化プロットのみではコールドスポットの同定が困難な場合がある.測定データを汎用表計算ソフトExcelを使用して温度変化を可視化することにより,コールドスポットの同一滅菌工程内での移動や装置の経時変化による移動が発生することが容易に確認されたので報告する.
【方法】
温度4チャネル(ebro製EBI12-VT),温度3チャネル+圧力1チャネル(ebro製EBI12-TP)のデータロガーそれぞれ2台,1台を滅菌チャンバー内の温度分布測定位置に置き,温度135℃/20分の滅菌工程用プログラムを実行し,温度変化を測定した.滅菌工程終了後,データロガー付属のソフトウェアで数値データに変換し,同一時間に測定された温度11点の高低関係を色に対応させてExcelにて時間系列で行方向に並べた.画面スクロールにより同一時間の最低温度の位置が変化した場合には,コールドスポットが視覚的に移動したことが判る.
【結果】
滅菌温度が維持されるべき20分間の滅菌工程中で,コールドスポットが,1.チャンバー下部の特定位置で不動,2.下部に局在するが平面方向で移動,3.チャンバー内上下方向に移動の多種の場合があることが判った.また,特定位置で固定していたコールドスポットが1年後の定期保守後,上下方向に移動するなど経時変化もあることが確認された.
【まとめ】
データロガーで取得した高圧蒸気滅菌器チャンバー内温度分布データを,滅菌工程中の温度変化が視覚的に把握できるよう,表計算ソフトを使用して温度高低に対応した色分けをおこない検証した.結果,コールドスポット位置が1点に固定される他に,チャンバー内で移動する場合があり,また経時変化することがあることが判った.