第98回日本医療機器学会大会

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Oral presentation

歯科用機器

歯科用機器

Sat. Jul 1, 2023 10:00 AM - 10:50 AM 第3会場 (アネックスホール F205+F206)

座長:柴田 義浩(国立病院機構熊本再春医療センター)

10:20 AM - 10:30 AM

[71] 低温滅菌における歯科材料への滅菌剤残量性調査

岡田 紗英, 橋本 素乃, 足立 沢実, 青﨑 宜子, 大塚 有紗, 田中 美香, 久保田 英雄 (東京医科歯科大学病院 材料部)

歯科治療は観血的な手技が多く,器材の滅菌依頼が多々ある.非耐熱性の歯科材料では低温滅菌を用いる必要があるが,滅菌剤は毒性があり,材料への残留が懸念される.そこで,当院で実施可能な過酸化水素ガスプラズマ滅菌または低温蒸気ホルムアルデヒド(以下LTSF)滅菌により,歯科材料に滅菌剤がどの程度残留するか検証した.試験に用いた歯科材料は8種類とし,以下の通りである.オプトラゲート(青,ピンク,白),メルサージュブラシ(フラット,ペンシル ), プロフィーカッ プ(No.1, No.3),ガッタパーチャ.各材料は6検体ずつ過酸化水素ガスプラズマ滅菌またはLTSF滅菌を実施した.過酸化水素の残留量測定方法は過マンガン酸カリウム消費量試験(平成15年健水発第1010001号目標22滴定法),ホルムアルデヒドの残留量測定方法はアセチルアセトン法を用いることとし,測定は厚生労働省登録水質検査機関へ依頼した.測定した結果,ホルムアルデヒドはメルサージュブラシ( フラット) で 16.17±0.70μg/g(n = 6,p < 0.001)と有意に残留していたが,その他は測定限界値以下であった.また,過酸化水素の残留については,メルサージュブラシ( フラット)223.33±3.33mg/l(n = 6,p < 0.001),メルサージュブラシ(ペンシル)で68.67±11.97mg/l(n = 6, p < 0.01)であり,対照と比較して有意に増加していた.メルサージュブラシは植毛された複雑な構造をしており,かつ表面積も大きいため測定値が増加したと考えられる.今回,我々は低温滅菌した歯科材料の一部に滅菌剤が残留していることを確認した.基準値の規定はないが可能な限り検出されないことが望ましく,安全な材料の供給には滅菌剤の残留性を評価する必要があると考える.