第98回日本医療機器学会大会

講演情報

一般演題

滅菌

滅菌3

2023年7月1日(土) 15:00 〜 15:50 第3会場 (アネックスホール F205+F206)

座長:谷口 優樹(東京大学)

15:10 〜 15:20

[85] 業者貸出し手術器械(Loan Instruments)の返却時における滅菌処理の実態調査

海老名 果歩, 伏見 了, 大町 智之, 鈴木 昌樹, 後藤 大地, 廣橋 愛美 (ワタキューセイモア㈱)

【背景と目的】
従来より整形外科や脳神経外科手術においては,業者から一時的に手術器械を借用する「業者貸出し手術器械」(Loan Instruments:以下 LI)が広く普及している.LI取り扱い上の留意点については,手術医療の実践ガイドライン(改訂第三版)にも記載されている.ガイドラインでは返却時の滅菌処理は不要とされているが,弊社受託病院の一部では滅菌処理を要求され業務に支障を生じている.そこで,返却時滅菌処理の実態を調査して,業務負荷の実際を把握するとともに不要と思われる返却時滅菌処理の廃止に向けた取り組みを紹介する.
【アンケート調査内容と方法】
調査機関は2022年7月から8月の2ヶ月間,施設数は全国220件の弊社受託病院である.調査項目は1.施設名,2.納入業者名,3.対象器械,4.対象器械の平均物量/日,5.滅菌理由,6.施設と納入業者間における協議の有無の6項目である.
【結果】
220病院のなかで32病院(14.5%)が返却前に全ての器材もしくは一部の器材の滅菌処理をおこなっていた.32病院の平均滅菌処理数は約5セット/日であった.物量が多い病院では約 15セット/日もあり,蒸気滅菌器を1から3回分/日も返却用に稼働させていた.滅菌処理をおこなっている一部の病院では,メーカや納品業者から滅菌処理の指示を受けていた.また,他施設への触接搬送時に滅菌を要求される例もあった.
【考察】
LIの返却時滅菌処理は,業務への過重負荷となっている実態が把握できた.滅菌処理はメーカや納入業者の指示に起因する例もあることから,業務委託施設に対してガイドラインなども紹介して滅菌処理の廃止に取り組みたい.