第98回日本医療機器学会大会

講演情報

一般演題

滅菌

滅菌3

2023年7月1日(土) 15:00 〜 15:50 第3会場 (アネックスホール F205+F206)

座長:谷口 優樹(東京大学)

15:30 〜 15:40

[87] 微生物培養試験におけるコンタミネーション防止に向けた原因調査

溝江 恵太1, 鈴木 早織1, 冨樫 麻梨奈1, 猪口 瑞穂1, 島川 弘行1, 川久保 悠史1, 向後 雄一郎1, 齊藤 周1, 小松 希1, 佐藤 千穂1, 林 健二2 (1.オリンパス㈱評価技術開発 リプロセス評価センター リプロセス評価3, 2.オリンパスメディカルシステムズ㈱R&D 機能 感染対策エンジニアリングオぺレーション)

【背景】
弊社では信頼性の高い微生物評価試験をおこなうため,試験担当者の教育や試験環境の整備など,ソフト・ハードの両面から徹底した管理体制を構築している.しかし,徹底した管理下でも稀にコンタミネーション(以下コンタミ)が発生することがある.コンタミ発生は目的とする細菌検出や最終評価に影響を及ぼすことがあるため,可能な限りコンタミの発生を防止することが求められる.
【目的】
コンタミ発生を防ぐ試験環境の構築を目的とし,弊社の微生物検査施設内の環境・試験者・機器・設備から検出される細菌の傾向を調査した.
【方法および結果】
弊社の微生物評価試験でコンタミしていた細菌を収集し,同定した.コンタミしていた細菌はすべてグラム陽性菌であり,Bacillus 系, Staphylococcus 系の細菌が8割以上を占めた.次に,浮遊菌によるコンタミのリスクを評価するため,実験室内の落下菌を測定した.検出箇所はわずかであり,検出菌数も少数であった.さらに,試験者・機器・設備から付着菌の検出を試みた結果,試験者・機器からBacillus系 やStaphylococcus 系の細菌 が, 設備から Pseudomonas 系の細菌が優勢に検出された.
【考察】
実験室環境での浮遊菌によるコンタミのリスクは低いことが明らかになった一方,試験者や機器からBacillus 系やStaphylococcus 系などの乾燥に強い細菌が優勢に検出された.弊社の微生物評価試験でコンタミしていた細菌も同様の検出傾向を示したことから,試験者や機器を介してコンタミが発生した可能性が示唆された.
【結論】
細菌のコンタミリスクを完全に排除することは困難であるが,そのリスクを低減することが重要である.試験者の手指消毒の徹底,消毒しやすい形状の機器への変更などが有効であると考えられる.さらに,コンタミが発生した場合はその細菌が環境由来か否かを十分に精査する必要であり,日頃から試験環境の調査し判断材料を増やしておくことが有効である.