第98回日本医療機器学会大会

講演情報

一般演題

医療機器管理

医療機器管理3

2023年7月1日(土) 16:00 〜 16:50 第3会場 (アネックスホール F205+F206)

座長:楠本 繁崇(大阪大学)

16:30 〜 16:40

[92] 携帯型血圧計の耐用期間と臨床工学技士の関わり

稲葉 悠斗, 藤井 雄介, 加藤 孝昭, 相木 一輝, 一柳 宏, 藤原 道隆 (名古屋大学医学部附属病院 臨床工学技術部)

【背景・目的】
医療機器には,添付文書に安全使用するための耐用期間が記載されているが,その期間を超えても使用されている場合が多い.当院の携帯型血圧計は臨床工学技士(以下CE)が管理しており,機器の点検状況や配置状況を把握している一方で耐用期間4.5年に対して納品日から 10年以上も経過した機器が散見される.そのため今回は使用期間と耐用期間について比較と考察をおこなった.
【方法】
当院の携帯型血圧計ES-H55®(TERUMO社製)277台を対象に,シリアル情報に基づいた機器製造日と当院の機器管理システムに登録した廃棄日から使用期間を抽出した.
【結果】
廃棄となった機器は136台,そのうち耐用期間内に廃棄となったのは6台で,院内で保有する携帯型血圧計の4.4%に相当する.廃棄機器の平均使用期間は12.8年.理由として最も多いのはエアリークで81%(110台),エアリークのみで廃棄に至った機器の平均使用期間は13.0年である.
【考察】
使用期間は耐用期間よりもかなり長いことが示された.当院ではCEが管理することで,修理依頼を受けた場合や定期点検時に発見される修理,機器の入れ替えが適切に実施されていたことが,使用期間の延長に繋がったと考える.廃棄理由の多くは,測定精度を著しく下げるエアリークであった.定期的に精度点検を実施しているため,精度の悪い機器が現場で使用され続けていた可能性は低く,当院での使用状況が実質的な使用可能期間であると考えらえる.以上から,添付文書上の「耐用期間」の意義について再検討を要するのではないかと考える.
【結語】
実際の使用期間は,耐用期間よりも相当長かった.引き続き,その他の機器でも実際の使用期間について検証していきたい.