09:00 〜 09:10
[94] ビデオコネクタ破損を検討して
当院では2020年頃よりフレキシブルカメラのビデオコネクタ部側面のねじ止め部分が破損することによるリークが増加した.以前,術後にビデオコネクタを床に落とす事で表面を破損させてしまうことが多発し,現在はビデオコネクタカバーを使用後取り付ける運用をおこなっている.今回の事例は,破損個所を勘案すると取扱い以外に原因があると考え,それについて検討をおこなった.破損原因として,洗浄や滅菌,素材などによるものが考えられた.素材についてはメーカにおいて設計時に様々な要因を検討されており,素材に起因する破損についての報告はほぼないとのことであった.次に洗浄や滅菌の方法について中央材料室に確認したところ,洗浄滅菌については酵素系中性洗剤で洗浄し,過酸化水素低温プラズマ滅菌で滅菌するメーカ推奨の方法で実施していた.しかし,洗浄について確認した際,洗浄に使用している洗浄剤は指定されている酵素系中性洗剤を使用されていたが,使用されている酵素系中性洗剤の種類が数種類あり,希釈濃度も規定内ではあったが一定ではないことが分かった.このため中央材料室と検討をおこない,酵素系中性洗剤の種類は1種類に統一し,濃度についても一定となるように調整した.これをおこなうようになってからは,同個所の破損は発生しなくなった.このことから今回の事象は,ケミカルアタックが破損の一因と考えられた.ケミカルアタックとは薬品などがプラスチックなどの素材内部に浸透することで強度が低下し,その部分に応力やひずみがかかっている場合に割れや折れなどが生じることである.異なった濃度や数種類の洗浄剤が交互に作用すること,主に過酸化水素低温プラズマ滅菌を使用しているため過酸化水素などが作用することで破損しやすくなっていたものと考えられた.このため使用する洗浄剤や滅菌方法を統一することは,機器破損を抑える一つの方法であると考えられる.