手術室2

[95] 前室を設けた空気感染症対応の手術室

髙倉 照彦¹, 山本 喜美男² (1.亀田総合病院 医療技術管理部, 2.亀田総合病院 手術センター)

【背景】
新型コロナウイルス感染が長期化するなか手術室の増設工事をおこなうことになった．空気感染症の手術ができる空調設備として陽・陰圧手術を切り替えられる手術室を設計した．ところが品質管理部より手術室は陽圧換気が基本であると指摘された．変更点は手術室ホールと手術室の間に緩衝域（前室）を設け陰圧排気へと構造変更した．
【目的】
結核やCOVID19など空気感染に対応できる手術室を増設することで，手術を安全におこない，医療従事者も健康被害がでないような新しい手術室環境を作ること．
【方法】
増設する手術室は救急病棟の跡地延床面積約640ｍ2である．既存の手術室とは3.5m幅の廊下とつながり，さらに救命救急センターと集中治療室にも廊下で繋がり，計４経路で結ばれている．手術室は全５室中央廊下回収型で空気感染症を対応すべき陰圧室を２部屋増設すべく検討をした．HESA-02-2013ガイドラインとは少し違った新たなCDCガイドラインに沿って完全な陰圧環境の前室を設計した．そのことで感染症対応の手術室であってもクリーン度を維持することだけを考え施工を依頼した．
【結果】
手術室内の感染対応のゾーニングは既存の動線が功を奏した．感染症患者は手術室の中央廊下を通らずに入退室ができる事は完全なゾーニング機能が果たされている．陰圧になる広いスペースの前室を設備したことで，手術に必要な医療材料など前室に置くことができた．また必要な小さな材料や検体などはパスボックスで授受できた．汚染空気は前室に漏れ出たあとホール側には漏れることがほぼないことが分かった．
【考察】
改善点はクリーンルームで手術が可能となり，職員の感染症リスクの低減になった．完全な前室を設けたことで汚染空気が中央ホールに漏れ出ることも防げることができた．開設３ヶ月後にHESA-02-2022ガイドライン改訂版が発行され今回の設計に間違いは無かったことが判った．