第99回日本医療機器学会大会

講演情報

一般演題

電磁環境・電波管理

電磁環境・電波管理

2024年6月22日(土) 09:00 〜 10:00 第4会場 (アネックスホール F204)

座長:楠本 繁崇(大阪大学)

09:10 〜 09:20

[103] データソフトウェアと医用テレメータの簡易SA機能を活用した当院における電波管理

小野 達也, 西岡 侑希, 真鍋 浩紀, 宮崎 昌彦 (住友別子病院 臨床工学室)

【背景】
医療機関における電波の適正利用を目的に, 2016年4月に「医療機関において安心・安全に電波を利用するための手引き」が策定された.また,病院機能評価では,2023年4月に「機能種別版評価項目3rdG:Ver.3.0」の運用が開始され,医用テレメータについては「その性能や安全性を確保するために(中略)適切に保守・点検がなされていなければならない」と記載されており,電波の適正利用に対する関心が高まっている.医用テレメータの電波管理においては,定量的な点検が推奨されているものの,実施している施設は少なく,当院も例外ではない.そこで,セントラルモニタ(以下Cモニタ)の簡易スペクトラムアナライザ(以下SA)機能と,データベースソフトウェアFileMaker(以下FM)を活用し,定量的な点検を効率的におこなうシステムを構築したので報告する.
【方法】
日本光電製Cモニタに送信機を入床させ,簡易SA機能で,各点検ポイントの受信強度を測定した.点検記録の管理には,FMで作成したデータベース(以下DB)を使用した.DBはFileMaker Server(以下FMS)にアップロードし,iPadにFileMaker Goをインストールすることで,iPadからFMS上のDBにアクセス可能で,iPadで点検記録の作成や参照がおこなえる.
【結果】
全ての点検ポイントにおいて,信号強度が安定していることが確認できた.本来,定量的な点検にはSAを使用するが,医療機関の保有率は低い.簡易SA機能は,技術職向けのツールではあるものの,医療機関における電磁環境測定に応用できる可能性が示唆された.また, FMを活用することで,当院に合わせた,柔軟なシステムを構築することができた.新棟移転後7年を経過した当院では,アンテナシステムのトラブルが起こる可能性も否定できない.今後も定期的に点検をおこない,データを蓄積・分析していきたい.
【結語】
Cモニタの簡易SA機能と,FMを活用し,定量的な点検を効率的におこなうシステムを構築できた.