第99回日本医療機器学会大会

講演情報

一般演題

人工呼吸器

人工呼吸器

2024年6月21日(金) 10:50 〜 11:30 第2会場 (アネックスホール F203)

座長:久保 仁(東京大学)

11:00 〜 11:10

[11] 成人および小児の換気量領域における人工鼻性能の比較研究

加藤 孝昭1, 久保 梨紗子1, 中尾 大1, 長谷川 静香1, 一柳 宏1, 藤井 雄介1,2, 相木 一輝1,2, 藤原 道隆1,2, 正木 宏享3,4 (1.名古屋大学医学部附属病院 臨床工学技術部, 2.名古屋大学医学部附属病院 医療機器総合管理部, 3.名古屋大学医学部附属病院 看護部, 4.名古屋大学大学院医学系研究科総合保健学専攻)

【背景】
人工呼吸器の加湿管理方法として人工鼻があるが,各社性能が異なるため状況に応じて選択をする必要がある.
【目的】
当院は換気量に応じて成人はハイグロバックS(以下α, 150 ~ 1,200mL),小児はヒューミニベントミニ(以下β, 50 ~ 600mL)を使用している.今回,成人・小児の換気量を補えるPHARMA MINI(以下γ, 50 ~ 900mL)が再販されたため比較をおこなった.
【方法】
人工呼吸器はV500,アナライザーはCITREX H5,解析ソフトはFlow Lab,人工鼻は上記の物を使用,最高圧および換気量を測定.VCモードで150mL(設定1),300mL(設定2),500 mL(設定3),PCモードではΔ5cmH2O(設定4),10cmH2O( 設定5),15cmH2O( 設定 6),それぞれ200呼吸サイクルを測定.Rを用いて統計をおこない,γをαおよびβと比較するためにSteel検定をおこなった.
【結果】
最高圧(cmH2O)又は換気量(mL)をα, β,γの順にmedian(IQR)で示す.設定1:13.2(13.2 ~ 13.3),13.1(13.1 ~ 13.2),12.8(12.7 ~ 12.9). 設定2:16.3(16.1 ~ 16.6), 17.7(17.6 ~ 17.7),17.5(17.3 ~ 17.6).設定3:21(20.3 ~ 21.7),20.1(19.8 ~ 20.2),20.3(20.2 ~ 20.4).設定4:60.9(60.6 ~ 61.2),62.8(62.3~ 63.4),60.6(60.1 ~ 60.9).設定5:206.1(205.6~ 206.5),210.6(210.2 ~ 211.2),204.7(204.3 ~ 205.3).設定6:427(426.1 ~ 428),442(441.3 ~ 442.7),386.7(386.1 ~ 387.2).すべての比較において有意差が認められた(p<0.01).
【考察】
VC時は最大差が1.5cmH2O以内, 低圧設定 PC時は5mL以内と臨床的に影響は少ないと考える.しかし,PC時15cmH2Oの高圧設定では, γはαと比較して死腔量が少なく小型なため,抵抗が高く低換気量になったと考える.またβはγよりも死腔量が少なく小型だが,フィルタを内蔵していないため,フィルタ付きよりも抵抗が少なく換気量を確保できたと考える.
【まとめ】
PC時にγを使用してΔ15cmH2O程度の設定とする際は,換気量を注意深く観察する必要がある.