第99回日本医療機器学会大会

講演情報

一般演題

医療機器管理

医療機器管理3

2024年6月22日(土) 10:10 〜 11:20 第4会場 (アネックスホール F204)

座長:今井 英一(新潟市民病院)

10:30 〜 10:40

[110] 医療用硬性鏡の破損検出に関する基礎的検討

古舘 佑基1, 中島 章夫1, 鈴木 哲治2 (1.杏林大学院保健学研究科臨床工学専攻, 2.杏林大学保健学部臨床工学科)

【はじめに】
本研究では,硬性鏡内部のロッドレンズや対物レンズに生じる傷について定量評価し,臨床現場での点検指標を作成することを目的とする.落とすやぶつけるといった物理的負荷によりレンズに傷が着くと,観察画面領域にて傷のできた箇所が黒く塗りつぶされたような見え方となり,診断や治療に支障をきたす.現在,内視鏡業務に従事する医師や臨床工学技士は,経験により画面状態を評価しているが,客観的に評価する指標は未だ確立されていない.
【方法】
本研究では,臨床利用された各種メーカの硬性鏡を用意した.まず,これらの撮影環境の一定化,また,メーカや直視鏡や斜視鏡などを問わず,測定および評価を可能にするための互換性確保を目的に,硬性鏡測定機構を自作した.硬性鏡の評価については,作成した測定機構内部へ硬性鏡を挿入し,医療用内視鏡システムを組合せ,硬性鏡1本に対して,2回撮影した.測定対象には,白色の画用紙を使用し,黒色の傷を顕著化させた.また,斜視鏡撮影の際は,観察画面領域内が白色で統一されるように,メーカごとに,対物レンズからターゲットまでの距離を調整した.得られた撮影画像はPCへ保存後,Pythonにて,撮影1回目画像と2回目画像との間で,差分を取りエッジ処理画像を作成した.
【結果 ・ 考察】
測定結果より,傷は,ロッドレンズが割れているもの,外筒から剝がれてしまっているもの,レンズにひびが入っているものの大きく3種類にグループ分けすることができ,剝がれてしまっているものが,最も顕著にエッジ抽出ができた.このことから,傷の大きさに依存せず,色素の薄い汚れの検出は困難であると考えられた.
【終わりに】
本研究により,自作した硬性鏡測定機構は,メーカやレンズ角度を問わず,一定の撮影環境下での撮影および画像処理が可能であることが示唆された.今後は,深層学習を用いた傷の自動抽出方法の確立について検討する.