第99回日本医療機器学会大会

講演情報

一般演題

技術開発/改良

技術開発/改良

2024年6月22日(土) 14:00 〜 15:00 第4会場 (アネックスホール F204)

座長:中島 章夫(杏林大学)

14:10 〜 14:20

[116] 皮膚色の変化を定量評価するカラリメータの開発

川畑 駿太郎1, 平手 裕市1, 松井 藤五郎1, 山本 諄1, 中井 浩司2, 小嶋 和恵2 (1.中部大学大学院生命健康科学研究科生命医科学専攻, 2.中部大学生命健康科学部臨床工学科)

【背景】
皮膚色は生理学的・生化学的な体内環境を反映して変化し,多様な病態の徴候として診断に利用されている.しかし,それらは視診による主観的な評価で診断され,周囲の照明環境や観察者の視力,感性等の影響を受け,客観性や記録性に課題がある.従って,皮膚色の連続的な定量評価の実現を目指し,独自のカラリメータを開発し,その有用性について検証した.
【方法】
三刺激値直読法を原理とし,光源はラバーレンズを装着した白色LEDを用い,その反射光をデジタルカラーセンサモジュールで色調を検出する.これらの素子および回路を黒色の樹脂で成型された容器に格納し,外部光を遮断する.このデバイスの有用性を検証するため, Schellong test(18例),VRによるジェットコースター体験(20例),クレペリン検査を応用した暗算負荷試験(16例)を健常被験者(延べ54例)に対して実施し,カラリメータによる皮膚色計測をおこなった.
【結果】
安静座位における前額部の赤色度は53.8±9.6
%,緑色度は25.8±5.2%,青色度は24.3±4.3%
(n=34)であり,前腕部の赤色度は64.1±6.1%,緑色度は33.2±4.1%,青色度は29.7±5.1%(n
=20)であった.安静座位の赤色度は,前額部と比べ,前腕部で有意に高かった(p<0.001). Schellong testでは,安静座位から安静臥位への体位変換で赤色度の急激な上昇と,立位でのなだらかな下降を観察した.VR負荷では,安静時やリラックスVR映像視聴時には変動がなく,ジェットコースター体験で状況に応じて急激な赤色度の変化を示すケースや,持続的に赤色度が減少するケースを認めた.暗算負荷試験では,負荷開始から赤色度・緑色度・青色度のなだらかな上昇と,負荷終了後になだらかな下降を認めるケースがあった.
【結論】
原則的に,赤色度が強く,緑色度・青色度は低く,赤色度は前額部よりも前腕部で高く記録された.また,性質の異なる負荷に対応して,赤色度を中心に変動が観察できた.