第99回日本医療機器学会大会

講演情報

一般演題

医療安全対策

医療安全対策2

2024年6月22日(土) 15:10 〜 16:00 第4会場 (アネックスホール F204)

座長:加藤 信彦(北海道情報大学)

15:10 〜 15:20

[121] 医療機器と電子カルテの通信連携による看護業務の効率化

天野 有二1,2, 山端 壯周1,2, 田中 恵子2,3, 谷 真澄2,3 (1.社会福祉法人恩賜財団済生会松阪総合病院 医療技術部臨床工学課, 2.社会福祉法人恩賜財団済生会松阪総合病院 医療安全管理室, 3.社会福祉法人恩賜財団済生会松阪総合病院 看護部)

【はじめに】
2020年1月,電子カルテの更新に併せ,電子カルテ記録における正確性と生産性の向上を目的に,全病棟に通信機能を有するバイタルサイン関連機器(体温計,血圧計,パルスオキシメータ),血糖測定器,輸液ポンプを導入し電子カルテとの通信連携を実施することで看護業務の効率化に貢献できたので報告する.
【背景】
通信連携前は,測定値など電子カルテへの1.未入力,2.誤入力,3.タイムラグがあり, 1.2.については診断や治療の遅れとなる可能性があり重要な課題であった.3.については医師がカルテを確認した際に測定値が入力されていないことが多く,看護師への問い合わせが日常的であった.輸液ポンプについては,管理面において貸出部署の把握しかできておらず,使用状況の把握としては不十分であった.また,汎用輸液セットを使用した滴下制御方式であったため,注入誤差などの輸液の精度についての問題が多くあった.
【方法】
バイタルサイン関連機器は病棟の全てのPCカートに設置した.血糖測定器は病棟ごとに必要数を配置した.輸液ポンプは中央管理している全台数を一斉に更新し,機種統一を実施した.同時に専用輸液セットを使用した流量制御方式に変更した.
【結果】
通信連携により上記1.2.3.の課題が全て解消された.輸液ポンプについては,電子カルテ内の医療機器管理システムと連携することで,現在の使用状況(貸出部署・使用患者・点検状況等)をリアルタイムに把握することが可能となった.また輸液の精度についても専用輸液セットを使用することで,注入誤差などの問題が解消されるとともに,警報件数の減少にも繋がった.
【考察・結論】
通信連携前の課題を解消することにより看護師の記録業務の軽減と記録の正確性が向上し,働き方改革へと繋げることができたと考える.輸液ポンプの詳細な使用状況を把握することで機器管理だけでなく,感染対策においても有用であると考える.