第99回日本医療機器学会大会

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Oral presentation

規格・法制

規格・法制

Fri. Jun 21, 2024 1:10 PM - 1:50 PM 第2会場 (アネックスホール F203)

座長:青木 郁香(公益社団法人日本臨床工学技士会)

1:10 PM - 1:20 PM

[14] 形態素解析による植込み型心臓デバイスを対象とした医療機器不具合報告の記載内容分析

石田 開 (湘南工科大学工学部人間環境学科)

【目的】
国内では,年間1万件を超える医療機器の不具合情報が報告されており,この内100 ~ 200件程度が回収に至っている.回収は臨床現場のみならず,当該医療機器の製造販売業者にとっても経済的損失や信用度の低下などを引き起こす.故に,回収の兆候となる不具合内容を把握することは大きな意味を持つ.本研究では,生体へのリスクが高く,高クラス回収の発生頻度も高い,植込み型心臓デバイスを対象とし,どのような不具合や健康被害が発生しているかを定量的に分析することを目的とした.
【方法】
2008年4月1日~ 2022年3月31日までに報告された,医療機器不具合報告の内,植込み型心臓ペースメーカおよび植込み型除細動器本体の不具合状況と健康被害状況を分析対象とした.テキストマイニングソフトウェアKH Coderを用いて,形態素解析を実施し,抽出語の頻度を集計した.また,不具合報告の対応状況を説明変数とし,回収かそれ以外かにおいて,抽出語の出現傾向や共起関係を分析した.
【結果】
表1に出現頻度の上位20位までの集計結果を示す.不具合状況の記載内容では,「電池」の出現数が1,000件を超え,次いで「疑い」「早期消耗」「不明」「感染」の順となった.健康被害状況では,「再手術」が1,600件を超え,次いで「感染症」「摘出・交換術」「疑い」「ICD」の順であった.「RF」「パラメータ」「互換性」「認証」などは,回収に至った報告にのみ出現した.また,回収事例においては,「チャージ時間」「ペーシング機能」「交信障害」「エラー」などは8割以上で「,リードコネクタ」「心機能」「遅延」などは5割以上で出現した.
【まとめと展望】
形態素解析により,植込み型心臓デバイスの不具合報告の内,回収に至った事例に特有な語を抽出できた.これらの語は回収の高い兆候を示す語と考えられ,回収事例を推定する言語モデルへの発展が期待できる.