第99回日本医療機器学会大会

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Oral presentation

規格・法制

規格・法制

Fri. Jun 21, 2024 1:10 PM - 1:50 PM 第2会場 (アネックスホール F203)

座長:青木 郁香(公益社団法人日本臨床工学技士会)

1:20 PM - 1:30 PM

[15] 植込み型心臓デバイスを対象とした医療機器不具合報告からの回収推定

石田 開 (湘南工科大学工学部人間環境学科)

【目的】
医療機器の回収は臨床現場のみならず,製造販売業者にとっても経済的損失や信用度の低下などを引き起こす.回収の兆候を把握し,早期にそれを予測し,対策を取ることができれば,影響を低減させることに繋がると考えられる.本研究では,植込み型心臓デバイスの医療機器不具合報告より,回収を推定する機械学習モデルを構築する目的とした.
【方法】
2008年4月1日~ 2022年3月31日までに報告された,植込み型心臓ペースメーカおよび植込み型除細動器本体の医療機器不具合報告,計 4,278件(回収:342件,非回収:3,936例)を対象とし,不具合状況と健康被害状況を説明変数とした.本研究では,2つの自然言語処理モデル(tohoku-BERT およびJMedRoBERTa)を用いた.本研究の対象データは,回収例が全体の10%未満の不均衡データのため,1:1のオーバーサンプリングおよび,1:1のアンダーサンプリングを実施し,各々でも推定精度を比較した.モデルの評価指標は,精度,適合率,再現率,F2-scoreを用いた.
【結果】
オリジナルデータでは,両モデル共に精度は 0.95以上となったが,再現率は0.5台であり,回収例を約半分しか推定できなかった.オーバーサンプリングデータに対するtohoku-BERTモデルでの学習では,再現率は0.968と高かったが, 適合率が0.117,F2-scoreは0.352と低かった.一方,オーバーサンプリングデータに対するJMedRoBERTaモデルでの学習では,再現率は0.918,F2-scoreは0.659となった.
【まとめと展望】
本研究の目標は,回収を逃すことなく予測するモデルを構築することである.今回検討したモデルでは,回収を9割以上の精度で推定可能であった.今後は精度の向上とともに,適合率やF2-scoreを向上させたバランスの取れたモデルの検討を実施していく.