第99回日本医療機器学会大会

講演情報

一般演題

洗浄

洗浄1

2024年6月21日(金) 13:10 〜 14:10 第3会場 (アネックスホール F205+F206)

座長:河野 太郎(古賀総合病院)

13:10 〜 13:20

[23] 用手洗浄削減の取り組み

彦坂 宗平, 金澤 かんな, 久米 啓介, 杉浦 好美 (浜松医科大学医学部附属病院)

【はじめに】
当院では医療器材の再生処理において ウォッシャーディスインフェクター(WD)投入前の用手洗浄を慣習的に実施している.人材不足が課題となる中で効率化を図る必要性がある.海外では80 ~ 90%の器材を用手洗浄無しとしている施設がある国も存在する.今回は世界各国で実際に用手洗浄削減を実現している洗浄システムを2023年5月12日より導入した結果,用手洗浄時間の削減が達成されたため報告する.
【方法】
1,WD装置はMMM社のUniclean PL 2を使用.洗剤はdeconex TWIN SYSTEM xper(t スイスBorerChemie社)を使用し,洗浄プログラム(アルカリ洗剤・酵素洗剤の投入タイミングと温度)を変更した.手術後6時間以内の手術鋼製小物のうち汚染のひどいものを選択し,用手洗浄をおこなわない状態で洗浄した.洗浄評価として,1)婦人科手術器材のうち10点を用手洗浄がない状態で洗浄後,HemoCheck-S(ドイツPEREG社)にて血液反応を検査.2)婦人科・消化器外科の5件の手術器材のうち17点を用手洗浄がない状態で洗浄し,消毒工程前に対象器材を取り出しBCA法で残留タンパク質測定を実施.2,新システム導入前後で各1日ずつ,材料部稼働時間である7~ 21時の用手洗浄に費やした時間を実測した.
【結果】
1,1)残留血液反応ではすべての器材から血液反応は検出されなかった.2)器材の残留タンパク質測定ではすべての器材で残留タンパク質30μg以下であった.2,導入前は用手(人が実際に手を動かす)洗浄時間は計141分30秒,浸漬時間を含めた用手洗浄合計時間が510分30秒であった.導入後は用手洗浄36分,用手洗浄合計は123分であった.
【考察】
新システム導入後の洗浄結果は良好であった.用手洗浄時間,用手洗浄合計時間共に75%程度の削減が達成された.
【結語】
MMM社のUniclean PL 2の WD 装置で, deconex TWIN SYSTEM xpertを使用し,最適化された洗浄プラグラムで洗浄した場合, 75%の用手洗浄工程を削減することができた.