第99回日本医療機器学会大会

講演情報

一般演題

洗浄

洗浄1

2024年6月21日(金) 13:10 〜 14:10 第3会場 (アネックスホール F205+F206)

座長:河野 太郎(古賀総合病院)

13:30 〜 13:40

[25] バイポーラ鑷子の破損に起因するウォッシャーディスインフェクター洗浄の検討

八瀬 文克, 村山 陸, 松村 悠希, 齋藤 竜一, 小島 健, 川崎 元美, 篠田 悟 (愛知県がんセンター 医療安全管理部 医療機器管理室)

【目的】
当院では,フレキシブルカメラのビデオコネクタ部側面のねじ止め部分の破損について,用手洗浄方法を見直すことで破損件数を減少させた.今回は,ウォッシャーディスインフェクター(以下WD)を用いて洗浄しているバイポーラ鑷子について,塗装の剝がれによる破損が多いため,その原因を突き止め,改善することを目的とした.
【方法】
WDでの洗浄について手順や使用洗剤などを確認し,バイポーラ鑷子やその他器材に適した洗浄方法をおこなっていることを確認するとともに,一般社団法人日本医療機器学会発行の医療現場における滅菌保証のガイドライン2021などに照らし合わせて,その内容が妥当であるかを検討した.検討した内容で,洗浄を実施することでの変化を確認した.
【結果】
これまではアルカリ系洗浄剤のみで洗浄をおこなっていた.これは,血液や組織付着した器具の汚れを効率よく落とすためであるとのことであった.しかしながらアルカリ系洗浄剤は,洗浄性は優れているものの,非鉄金属の対する防食性や塗装を侵すなど使用に関して不適合となる物品がある.バイポーラ鑷子についても中性洗剤での洗浄が推奨されており,中材担当者とも相談し,洗浄剤の見直しやメーカに依頼し洗浄プログラムの改変,WDの改良をおこない,酵素剤入り弱アルカリ性洗浄剤も使用できるようにした.
【考察】
WDでの洗浄は,効率よく器材を洗浄できるようにするためアルカリ系洗浄剤のみで洗浄をおこなっていた.バイポーラ鑷子は強いアルカリによって金属部分と塗装部分が構造的に剝離しやすい部分から剝がれたものと考えられる.このため器材に合った洗浄をおこなうことで,器材をより長持ちさせ,安全に使用することができるものと考えられる.
【結語】
WDを用いて洗浄しているバイポーラ鑷子について,絶縁塗装の剝がれによる破損の原因を突き止め,改善することで,他の器材についても洗浄の改善ができた.