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[37] 病院内給水停止災害での材料部の対応
~経験して思うこと~
2021年10月19日17時頃,当院の複数の患者がメトヘモグロビン血症を発症した.亜硝酸態窒素と硝酸態窒素の濃度が基準値を超える水質異常が発生した.前橋保健所から原因の特定および改善ならびに水質基準を満たすことが確認できるまで給水の停止を指示された.そのため,翌日から院内全ての水道水が使用できなくなった.一部外来を翌日から休止し,予定手術も全て中止となった.翌々日から外来を全て休止した.これらの状況を鑑み,群馬大学危機対策本部が設置された.発生当日の何時から水質異常が発生したか不明だったため,19日に洗浄滅菌した器材を全てリコールした.当院では洗浄滅菌できないので,外部滅菌センター(以下センター)へ対応を依頼した.予定手術は全て中止になったが緊急手術に対応するため,毎日手術部看護師による手術器材の優先順位の選定をおこなった.また,病棟関係者へ滅菌物の仕上がりに3日間要することを周知した.センターの滅菌バッグやCIを使用すると,使用者が滅菌できているか否かの判定に戸惑うのではないかと考え,滅菌物の仕上がりの見た目を変えないように取り組んだ.そのため,器材と一緒に当院の滅菌バッグ・不織布・CI等をセンターへ持ち出し使用した.作業は,センターが通常使用していない時間帯を借用したので,夜間に稼働した.当院は外部業者へ業務を全面委託しており,当院の器材がわかるスタッフでないと作業できないため,委託業者スタッフを派遣した.今回給水停止を経験して,インフラ支援に対応できるように,自施設の洗浄器・滅菌器の稼働に必要な水・電気・蒸気などの条件を把握しておくことが重要であると感じた.また,災害時の対応や復旧時の対応の参考となる資料がなく困った.災害が起きないことを願うが,災害を経験した方は今後の一助となるので,対応などを報告することが望ましいと考える.