09:40 〜 09:50
[44] 腹腔鏡下手術の鉗子操作における身長・手長・握力および姿勢と操作性の関係
【背景】
手術機器の「使いやすさ」に影響する要因として,機器側の要因(サイズ,デザイン等)とユーザ側の要因(身長,姿勢等)の両方が考えられる.多様なユーザに受け容れられる使いやすい機器をデザインするためには,パフォーマンスと身体的・心理的負荷の両面から評価する方法が求められる.
【目的】
腹腔鏡下手術における鉗子操作を対象として,ユーザの身体的特徴とパフォーマンスの関連性,および姿勢と筋負担の関連性を明らかとする.
【方法】
腹腔鏡手術のトレーニングボックス(FLS trainer)における,把持移動タスクであるペグトランスファータスクを用いた2種類の実験を実施した.1)被験者91人(男性66人,女性 25人)に対して,タスクの遂行時間と身長・手長・握力を取得し,両者の関係を分析した.2)被験者10人(男性10人)に対して,タスク遂行時の作業面の高さを変えて,上腕二頭筋・尺側手根屈筋・指伸筋の筋電を計測し,高さと筋電の% MVC(%最大随意収縮)との関係を分析した.作業面高さは各被験者の肘頭高をもとに0.6 ~ 1.1倍の範囲で調節した.
【結果】
1)タスク遂行時間の平均は122秒であった.相関係数は-0.047(身長),-0.0051(手長),-0.075(握力)であり,身長・手長・握力によってタスクの遂行時間の変化は見られなかった.2)各被験者の上腕二頭筋と尺側手根屈筋において作業面高さによる% MVCに有意な差が見られた( 各p=0.033,p=0.039,one-way ANOVA).とくに肘頭高の0.9倍と1.0倍の高さで% MVCの値が小さくなった.これは主観的アンケートによる評価でも裏付けられた.
【結語】
今後使いやすい手術機器をデザインするにあたり,筋負担は有効な評価指標の一つとなりうる.
手術機器の「使いやすさ」に影響する要因として,機器側の要因(サイズ,デザイン等)とユーザ側の要因(身長,姿勢等)の両方が考えられる.多様なユーザに受け容れられる使いやすい機器をデザインするためには,パフォーマンスと身体的・心理的負荷の両面から評価する方法が求められる.
【目的】
腹腔鏡下手術における鉗子操作を対象として,ユーザの身体的特徴とパフォーマンスの関連性,および姿勢と筋負担の関連性を明らかとする.
【方法】
腹腔鏡手術のトレーニングボックス(FLS trainer)における,把持移動タスクであるペグトランスファータスクを用いた2種類の実験を実施した.1)被験者91人(男性66人,女性 25人)に対して,タスクの遂行時間と身長・手長・握力を取得し,両者の関係を分析した.2)被験者10人(男性10人)に対して,タスク遂行時の作業面の高さを変えて,上腕二頭筋・尺側手根屈筋・指伸筋の筋電を計測し,高さと筋電の% MVC(%最大随意収縮)との関係を分析した.作業面高さは各被験者の肘頭高をもとに0.6 ~ 1.1倍の範囲で調節した.
【結果】
1)タスク遂行時間の平均は122秒であった.相関係数は-0.047(身長),-0.0051(手長),-0.075(握力)であり,身長・手長・握力によってタスクの遂行時間の変化は見られなかった.2)各被験者の上腕二頭筋と尺側手根屈筋において作業面高さによる% MVCに有意な差が見られた( 各p=0.033,p=0.039,one-way ANOVA).とくに肘頭高の0.9倍と1.0倍の高さで% MVCの値が小さくなった.これは主観的アンケートによる評価でも裏付けられた.
【結語】
今後使いやすい手術機器をデザインするにあたり,筋負担は有効な評価指標の一つとなりうる.