第99回日本医療機器学会大会

講演情報

一般演題

手術室

手術室

2024年6月21日(金) 09:00 〜 10:10 第4会場 (アネックスホール F204)

座長:野田 剛広(大阪大学)

09:50 〜 10:00

[45] ハイブリッド手術室における血管撮影装置のワーキング Angle と寝台干渉に関する検証

柳川 康洋 (大阪大学医学部附属病院 医療技術部放射線部門)

【背景】
ハイブリッド手術室は,手術台と心・血管 X線撮影装置を組み合わせた手術室のことである.当院で現在使用している装置は,多軸型ロボット形式の透視装置Artis Pheno(Siemens社製)で,2019年10月より稼働開始した.主に大動脈ステントグラフト内挿術(TEVAR, EVAR)や経皮的大動脈弁留置術(TAVI)等の血管内手術が実施されている.稼働開始に伴い,以前に使用した天吊り走行式装置とは異なり,術中に装置の角度を深く振ることによる干渉トラブルが頻発し,最も重要なワーキング Angleを提示できないことが問題となった.今回,装置の特性を考慮し,様々な設定条件におけるワーキングAngleの稼働範囲に関して検証したので報告する.
【方法】
現在使用している装置において,Cアームの角度を振る際の稼働範囲を確認.導入時に設定された寝台Position15°を基準に,さらに寝台Position 0°に設定を変えた場合の稼働範囲も確認した.さらに,寝台の高さをアイソセンターの高さ近辺である-18cmと高さを下げた-25cmにおける稼働範囲を確認した.
【結果】
左右方向(RAO,LAO) および頭尾方向(CRA,CAU)にCアーム角度を振って確認した結果,複合角度で振る際に干渉リスクが高まることが明らかになった.また,寝台の高さを上げることで稼働範囲は広くなった.Position 0°に設定を変えることも稼働範囲を若干広げることに有用なことが明らかになった.
【考察】
現状の術中環境および装置の特性から, RAO, CAU等の複合角度の際に患者の左頭側の寝台とCアームの軸および離被架台が干渉する可能性が高まることが問題と思われる.術前段階でワーキングAngleの提示可否の明確化は,術中のアーム操作に伴う干渉を回避でき有用と思われる.
【結論】
現在の手術環境の問題点が明白になった.手術環境に変化が生じる際は,基礎的検討をおこない新たな環境を提供できるよう配置やレイアウトを工夫することが不可欠である.