第99回日本医療機器学会大会

講演情報

一般演題

臨床工学

臨床工学

2024年6月21日(金) 10:20 〜 11:20 第4会場 (アネックスホール F204)

座長:真茅 孝志(久留米大学)

10:40 〜 10:50

[49] 人工心肺の自動制御を目指した静電容量式液面センサによる貯血槽の液面測定

百瀬 直樹1, 安田 徹1, 松田 孝平1, 草浦 理恵1, 木村 直行1, 徳嶺 朝子2, 柳沢 充延3 (1.自治医科大学さいたま医療センター 臨床工学部, 2.近畿大学生物理工学部医用工学科, 3.㈱ビックワイズ)

【背景・目的】
我々は人工心肺操作で難しい貯血槽の液面の高さ(貯血レベル)の調整を自動制御させる目的で,開放型体外循環回路における貯血レベル安定化装置(Open-circuit Level Control system: OLC)を開発したが,貯血レベルの測定法に課題を残していた.今回静電容量式液面センサ(静電センサ)による貯血レベル測定を試みたので報告する.
【方法】
貯血槽(テルモ社CX-RR40)の外側にフィルム状の静電センサ(亀岡電子㈱製CLA-D30P)を貼り,アンプ(同社CLA-A03)で液面の高さに相当する電圧を出力させた.また同じ貯血槽の底部まで筒を差し込み,筒上部に圧力センサを取り付け,貯血レベルを示す静水圧も測定できるようにした.貯血レベルを1cm刻みで変化させ,静電センサの電圧・静水圧それぞれの測定値を比較した.また,貯血槽に水を急速に流入・流出させ,液面変化に対する静電センサの電圧・静水圧それぞれの追従性を計測した.
【結果】
静電センサの電圧と静水圧は線形関係(y=0.1838x+0.7414)を示し,相関係数R2=0.9968であった.液面を変化させる実験では,静電センサの電圧は静水圧に比して23msの遅れがあった.
【考察】
OLCは,貯血レベルを静水圧で測定し,貯血レベルが安定するよう静水圧の変化で送血ポンプの回転(送血流量)を制御させていた.しかし静水圧は,貯血槽の底に圧センサを組み込むか貯血槽上部から内部に清潔な測定用の筒を差し込む必要があった.静電センサは,貯血槽の外装から液面が測定できるため,血液と完全に非接触となる.そして今回の実験の結果,静電センサの測定値は静水圧と高い相関があり,追従性は静水圧に比べわずかに遅れがあるが貯血レベルの制御には十分な応答性であり, OLCに応用可能と考える.今後は静電センサが市販の各種貯血槽でも測定可能であるか検証し,OLCへの組み込みを課題とする.
【結論】
静電センサはOLCへの応用が可能である.