第99回日本医療機器学会大会

講演情報

一般演題

洗浄

洗浄2

2024年6月22日(土) 09:50 〜 10:50 第1会場 (アネックスホール F201+F202)

座長:大西真裕(昭和大学藤が丘病院)

10:40 〜 10:50

[68] 軟性内視鏡のべたつき改善を目指して

臼木 佑太1, 馬場 重好2, 三軒 隼人3, 菅田 潤4 (1.地方独立行政法人北九州市立病院機構 北九州市立八幡病院診療支援部 臨床工学課, 2.クリーンケミカル㈱開発戦略部, 3.クリーンケミカル㈱技術部, 4.㈱エフエスユニマネジメント 八幡事業所)

【背景】
軟性内視鏡のコーティング剝がれによりべたつきが発生する場合がある.その原因には取り扱いによる手技や洗剤の種類,洗浄方法,滅菌過程など様々な要因がある.当院でも短期間(約1年6ヶ月)に軟性内視鏡のべたつきが発生し,検査が困難になった事例を経験したので,原因と対策を報告する.
【目的】
短期間に発生したべたつきの原因を解明し,再発防止に努める.
【検証】
軟性内視鏡メーカ立ち会いの下,医師,看護師,臨床工学技士,CSSD(滅菌供給部門)スタッフで以下の項目の確認をおこなった.1 準備 2 検査施行時 3 片付け 4 運搬方法 5 洗浄方法 6 滅菌方法 7 保管方法メーカの推奨通りに運用していたため,特に改善点の指摘はなかった.しかし短期間でのべたつき発生であったため,臨床工学技士,CSSDスタッフ,軟性内視鏡メーカ,洗剤メーカ,滅菌機器メーカで協議をおこなった.べたつきの原因の一つとして「すすぎ不良の可能性」があり得るという仮説を立て,洗浄方法の変更により改善が得られるかの検証をおこなった.
【方法】
1,すすぎ工程変更の前後において内視鏡表面に残留する界面活性剤の残留量の比較をおこなう.2,すすぎ工程変更の前後の内視鏡のべたつきや破損の発生頻度の比較をおこなう.
【結果】
1,すすぎ工程変更後の方が界面活性剤の残留量が約1.62倍多い結果となった.2,しかし,変更後べたつきやコーティングの剝がれなどの症状は無くなった.
【考察】
すすぎ工程変更後では界面活性剤の残留量は増えてしまったが,べたつきやコーティング剝がれの症状が無くなったことから界面活性剤はべたつきの原因であるということは考えにくいと言える.ただし,症状が改善したので今回のすすぎ工程の変更は有効であったと考える.
【今後の展望】
べたつきやコーティング剝がれの原因特定はできなかったので今後も検証を続けていく.