第99回日本医療機器学会大会

講演情報

一般演題

滅菌

滅菌2

2024年6月22日(土) 11:00 〜 12:00 第1会場 (アネックスホール F201+F202)

座長:柴田義浩(国立病院機構再春医療センター)

11:00 〜 11:10

[69] 各種 RMD の蒸気滅菌における温度測定報告

三木 智恵美1, 城之内 幸宏2 (1.留萌市立病院 手術・中央材料室, 2.サクラ精機㈱感染制御事業本部 学術部)

【背景】
医療施設での滅菌保証とは,再使用可能な医療機器(以下RMD)の無菌性保証水準(以下 SAL)の達成と,適格性(安全性,品質,性能)を担保することである.2019年よりこれを達成するため製品ファミリー分類を実施し,マスター製品を品温測定により選定しバリデーションを実施した.マスター製品の選定にあたっては,RMDの温度測定位置,滅菌タイムラグなどの情報が不明であったため,その形状から多種多様なRMDについて品温測定を実施し,温度上昇傾向の知見を得た.今後バリデーション方法の検討の参考のため報告する.
【方法】
1)添付文書,取り扱い説明書から滅菌条件を確認 2)包装材の仕様確認 3)データロガーをRMDにセット 4)現行のAC設定条件(135℃8分)で運転 5)滅菌条件を達成しているか確認 6)適格性に問題が無いか確認 7)滅菌条件未達成の場合,原因検討,対応策を検討し再検証 8)結果・運用の文書化
【結果】
RMDの添付文書は,メーカにより滅菌条件の熱暴露可能な最高温度,上限時間の記載がなく,メーカに問い合わせ情報を得た.RMDの温度測定では,タオル・ストッキネットは温度の上昇は遅いが滅菌温度以上に上昇し,この結果,AC設定条件を132℃とした.軟性鏡は 132℃のAC設定温度により133 ~ 134℃で推移し,滅菌条件を達成した.数点のドライバーハンドル内腔内で滅菌条件が未達成となり,積載方法により滅菌条件が達成されるRMDがあることも確認した.
【結論】
1)積載方法により滅菌条件を達成した一部の中空器材(ドライバーハンドル内腔内)で,ドレインの可能性が示唆された.2)RMDの品温測定による滅菌条件の達成確認を実施することにより,滅菌タイムラグを考慮した滅菌器の設定値を決定することができる.3)添付文書に適格性を損なわない滅菌条件の上限と,滅菌タイムラグが長い器材や積載方法の考慮が必要な器材など明記されることをRMDメーカに強く望む.