第99回日本医療機器学会大会

講演情報

一般演題

洗浄

洗浄3

2024年6月22日(土) 14:00 〜 15:20 第1会場 (アネックスホール F201+F202)

座長:長瀬 清(岐阜大学)

15:00 〜 15:10

[81] 各種薬剤のバイオフィルム除去に与える要因調査

藤田 敏1, 中野 結子1, 横溝 和美2 (1.クリーンケミカル㈱技術部, 2.崇城大学薬学部)

【背景】
不十分な洗浄により菌が増殖し,やがてその表面にバイオフィルムが形成される.このバイオフィルムは,我々の生活環境の中で多く存在しているが,人体に影響を与えることは少ない.しかし,医療現場では様々な感染症に関与し,抗菌薬に抵抗性を示して感染が持続するため,バイオフィルム発生の抑制と除去する方法の探索は極めて重要である.
【目的】
本研究では各種薬剤がバイオフィルムに影響を与える因子について調査をおこなったので報告する.
【方法】
同人化学社製バイオフィルム測定キット(Biofilm Formation Assay Kit)を用いて緑膿菌バイオフィルムを形成させ,それらに次亜塩素酸ナトリウム(有効塩素50,200,1,000ppm, pH4.4 ~ 10.8), 過 酸 化 水 素(3,000,15,000, 35,000 ppm),酵素配合洗剤(2種類,0.5,1.0 v%)を一定時間接触させた.その後,水洗し,バイオフィルムと生菌の残存量を測定した.
【結果】
次亜塩素酸ナトリウムは,1,000ppmのpH6.5と10.8のみバイオフィルム除去効果を認め, 50ppmのpH4.4以外すべて除菌効果を認めた.過酸化水素は,15,000ppmおよび35,000ppmではバイオフィルム除去効果を認めたが, 3,000ppmは認めなかった.除菌効果はすべての濃度で効果を認めた.酵素配合洗剤は,1種はバイオフィルム除去および除菌効果を認めたが,もう一方は認めなかった.
【考察】
次亜塩素酸ナトリウムおよび過酸化水素について,バイオフィルムを除去できなった濃度やpHにおいて除菌効果が認められたため,各有効成分がバイオフィルム内へ浸透し,バイオフィルム中の菌を除菌する性質があることが示唆された.酵素洗剤について,洗剤2種の有効成分が若干異なることから,その成分の影響により結果に差がでたと推測される.
【結論】
今回の実験結果におけるバイオフィルム除去に影響を与える因子は,次亜塩素酸ナトリウムは濃度とpH,過酸化水素は濃度,酵素洗剤はある種の有効成分である.