14:00 〜 14:10
[88] 除菌洗浄剤に含まれる主成分が輸液ポンプの表面素材に与える影響
【はじめに】
COVID-19感染をきっかけに洗浄剤の選定基準や清掃手順は除菌効果を重視する傾向にあったが,医療機器の表面素材への影響も十分に考慮する必要がある.今回,当院で使用している 3種の除菌洗浄剤に含まれる主成分が輸液ポンプの表面素材に及ぼす影響を検証したので報告する.
【方法】
テルフュージョン輸液ポンプ28型の本体ケースユニット,フィンガー,バッファープレート(輸液チューブ押え部)のパーツに対し,ペルオキソ一硫酸水素カリウム,第四級アンモニウム塩溶液,76.9 ~ 81.4vol%エタノール溶液を主成分とする3種の除菌洗浄剤絞り液を使用し浸漬実験をおこなった.各パーツに及ぼす影響については一週間ごとにHDMIデジタルマイクロスコープ(STZ-171-TLED-1080M) を使用しパーツの表面状態を観察した.
【結果】
ペルオキソ一硫酸水素カリウムの絞り液に浸漬したバッファープレートは浸漬8週目(56日後)に亀裂と白色変化が認められた.本体ケースユニットおよびフィンガーについては,10週経過した時点においても表面の変化は確認できなかった.変化の確認できた組み合わせで清拭実験を追加でおこなったところ,9週間目(63日後)の観察でバッファープレートに白色変化が認められた.
【考察】
ペルオキソ一硫酸水素カリウムを主成分とした除菌洗浄剤は,酸化作用により次亜塩素酸を生成するため,バッファープレートは次亜塩素酸によって劣化したと考えられた.また清拭実験でも同様の結果が得られたことから,日常業務における清拭作業でも材質の劣化が起こることが考えられる.
【結語】
これまでは感染面を重視し除菌洗浄剤が選定されてきたが,環境表面素材への影響を考慮しなければ,医療機器の安全性にも影響を及ぼす可能性がある.できる限り環境表面素材へ影響を与えず,除菌効果の高い洗浄剤を使用することが望ましい.それぞれの洗浄剤の特徴を理解したうえで,利用場面ごとに選択することが重要である.
COVID-19感染をきっかけに洗浄剤の選定基準や清掃手順は除菌効果を重視する傾向にあったが,医療機器の表面素材への影響も十分に考慮する必要がある.今回,当院で使用している 3種の除菌洗浄剤に含まれる主成分が輸液ポンプの表面素材に及ぼす影響を検証したので報告する.
【方法】
テルフュージョン輸液ポンプ28型の本体ケースユニット,フィンガー,バッファープレート(輸液チューブ押え部)のパーツに対し,ペルオキソ一硫酸水素カリウム,第四級アンモニウム塩溶液,76.9 ~ 81.4vol%エタノール溶液を主成分とする3種の除菌洗浄剤絞り液を使用し浸漬実験をおこなった.各パーツに及ぼす影響については一週間ごとにHDMIデジタルマイクロスコープ(STZ-171-TLED-1080M) を使用しパーツの表面状態を観察した.
【結果】
ペルオキソ一硫酸水素カリウムの絞り液に浸漬したバッファープレートは浸漬8週目(56日後)に亀裂と白色変化が認められた.本体ケースユニットおよびフィンガーについては,10週経過した時点においても表面の変化は確認できなかった.変化の確認できた組み合わせで清拭実験を追加でおこなったところ,9週間目(63日後)の観察でバッファープレートに白色変化が認められた.
【考察】
ペルオキソ一硫酸水素カリウムを主成分とした除菌洗浄剤は,酸化作用により次亜塩素酸を生成するため,バッファープレートは次亜塩素酸によって劣化したと考えられた.また清拭実験でも同様の結果が得られたことから,日常業務における清拭作業でも材質の劣化が起こることが考えられる.
【結語】
これまでは感染面を重視し除菌洗浄剤が選定されてきたが,環境表面素材への影響を考慮しなければ,医療機器の安全性にも影響を及ぼす可能性がある.できる限り環境表面素材へ影響を与えず,除菌効果の高い洗浄剤を使用することが望ましい.それぞれの洗浄剤の特徴を理解したうえで,利用場面ごとに選択することが重要である.