第99回日本医療機器学会大会

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Educational Lecture

教育講演1 バーコードをうまく活用できていますか―医療材料と体外診断用医薬品のGS1を使ってみよう

Fri. Jun 21, 2024 10:30 AM - 11:10 AM 第1会場 (アネックスホール F201+F202)

座長:臼杵 尚志(香川大学)

10:50 AM - 11:10 AM

[教育講演1] GS1 バーコードと Excel VBA を活用した検査試薬管理

-記録における正確性向上と業務効率化の両立-

井上 卓 (静岡県立こども病院 診療支援部検査技術室)

臨床検査では,検体を検査試薬により分析することで検査データを臨床に提供し,これが疾病の診断や病態の判断に利用されている.そのため,検査試薬には,体外診断用医薬品に該当する試薬も多い.検査試薬における『管理の質』を向上させることは,検査の質を担保する要素として重要視されている.試薬の品質を保つための適切な管理には,1つの試薬に対して試薬名,ロット,期限,入庫記録,使用開始記録,使用終了記録,そしてこれらの記録をいつ誰がおこなったのかという記録も必要であり,さらにこれらの記録をいつでも利用できるように維持管理していくことも必要である.しかし,これらの記録を従来の手書き台帳などでおこなう管理方法は,業務負担の増加や記録の正確性低下に繋がる可能性があり,管理方法の改善が求められている.
当院で開発・導入した試薬管理システムは,検査試薬のGS1バーコードおよびExcel VBA(Visual Basic for Applications)を活用し,記録業務を支援する管理方法である.Excel VBAを用いてプログラミングをおこない,システムで検査試薬をデータ管理するために6つの機能を付与した.1つ目は商品コードと試薬名を紐付けるための試薬データベースを構築する機能である.2つ目は, GS1バーコードを読み取ることで試薬名,ロット,期限を自動抽出・記録し,その試薬情報が印字された識別用ラベルを発行する機能である.3つ目は,ログイン画面を作成し,システムへのアクセス制限と誰が記録したのかを付加する機能である.4つ目は,データ保護による記録の書き換え防止機能である.5つ目は,識別用ラベルを複製できる機能である.6つ目は,試薬期限に対応し背景色を変更する機能である.
GS1バーコードとExcel VBAを活用した試薬管理方法は,ヒューマンエラーを最小限に抑えるバーコード読み取りによる記録作業,およびシステムによる視認性の高い試薬状況チェックが可能であり,記録の正確性向上と業務効率化が両立した試薬管理を実現する.