15:00 〜 15:15
[シンポジウム4] AIを用いた医療機器プログラムの市販後再学習における留意点
深層学習などの機械学習技術を用いた最近の医療機器プログラム(Software as a Medical Device,SaMD)は,連続学習などの頻繁な学習が可能となっている.この特性を活かすことで,市販後施設のデータを使用した再学習による性能向上が期待される.日本では,このようなSaMDの特性を生かすために,変更計画を含む承認が可能なIDATEN制度が設けられている.しかしながら,その活用はまだ充分とは言えず,その背後には,市販後再学習時の様々なリスクの存在が指摘されている.例えば,撮影条件が不良な不適切な学習データや,誤ったアノテーション(教師ラベル)を与えて学習した場合には,性能が低下するリスクがある.また,撮影装置の変更,患者群の特徴の違いなどによるDomain Shiftが起こった場合も性能低下のリスクがある.さらに,市販後の再学習結果は,毎回フレッシュなテストデータを使って評価することが理想的であるが,アノテーション付きの大量のデータを集めることは困難であることから,現実には,同一テストデータセットによる評価を繰り返すことになると予想される.その場合には,評価した性能にバイアスが混入するリスクがある.本講演では,これらのリスクと対策例について紹介する.