第42回日本磁気共鳴医学会大会

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教育講演

脳神経

教育講演2

脳神経1

Thu. Sep 18, 2014 8:30 AM - 9:30 AM 第2会場 (3F 源氏の間東)

座長:田岡俊昭(奈良県立医科大学附属病院 放射線科)

[EL2-1] 内耳MRI:臨床応用可能な内リンパ水腫画像~取得方法と評価方法を中心に~

長縄慎二 (名古屋大学医学部 放射線科)

メニエール病は回転性めまい発作、耳鳴、耳閉感、難聴を主徴とする疾患で、原因も治療法も解明されていない厚生労働省指定の難病である。重篤なめまい発作により、社会生活に支障を来すが、徐々に進行し、最終的には難聴が最も重大な問題となる。ストレス社会の影響か、塩分摂取の増大のためか、高齢化のためか、患者は増加傾向である。大体この15年間で倍増し、また初発年齢の高齢化も目立つ。従来は、詳細な病歴の聴取と聴力検査によって臨床的に診断がなされていた。しかしながら除外すべき疾患も多く、客観的な診断は困難であった。メニエール病においては、内耳の内リンパ水腫が組織学的に確認されているが、最近、これを画像化することが可能となってきた。当初はガドリニウム造影剤を鼓室内に注入していたが、現在では通常量のガドリニウム造影剤の静注4時間後の撮像によって、臨床検査として評価することが可能である。本年より厚生労働省班研究として内リンパ水腫の画像診断を今後のメニエール病診断ガイドラインに入れることを視野に入れつつ、多施設での検討が始まる予定である。ドイツ、中国、オーストラリア、米国等においても内リンパ水腫の画像診断の報告が、増加してきている。そろそろ我が国においても広く臨床 MR に携わる者が知っておくべき内容と考える。本講演ではメニエール病における画像診断の意義、臨床応用可能な画像取得法、画像評価規準について概説する。そして症例画像を供覧しながら、画像解釈の実際について解説する。本教育講演に参加することによって、本法の概要が把握でき、耳鼻科から相談があった際に的確に対応することができるようになる。