第42回日本磁気共鳴医学会大会

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教育講演

循環器

教育講演4

循環器

Thu. Sep 18, 2014 8:30 AM - 9:30 AM 第4会場 (3F 源氏の間北)

座長:佐久間肇(三重大学大学院医学研究科 臨床医学系講座 放射線医学)

[EL4-2] 先天性心疾患の形態診断とMRIに期待されること

神崎歩 (国立循環器病研究センター 放射線部)

先天性心疾患の形態診断では,大まかな骨組みを診断する方法として,区分診断法の考え方がある.これは,左右の心房を同定,左右の心室を同定,大動脈と肺動脈を同定し,それぞれの位置関係から心房位(内臓心房位),心室位(心室ループ),大血管関係を診断,次に心房心室結合,心室大血管関係の接続関係を診断する,5段階の建物のように主要な骨組みをとらえるものである.単一の欠損孔を有するものから複雑な形態の複合までバリエーションの多い疾患群を,系統立てて診断する重要なステップである.MRIでも同様のステップをたどることで、系統的な形態診断が可能である。現在MRIは形態診断のみでなく,機能評価の点でも大きく期待されている.1点はシネMRI画像が死角なく得られる点で,心機能評価に注目が集まっている.もう1点はphase contrast法による血流計測である.心内の欠損孔による短絡量の評価だけでなく,経過中に生じることがある側副血行路の評価などにも応用が可能である.本邦では,先天性心疾患に対するMRIは,欧米に比べて普及が遅れてきたが,近年は主要な施設では積極的に用いられるようになっている.疾患の多様性,形態の異常とそれに伴う血行動態の異常,治療に伴う血行動態の変化や遺残病変,続発症など課題は多く,データの蓄積が期待されている.