[O-1-006] T1mappingを用いた拡張型心筋症とExtracellular volume (ECV)の検討
【背景】拡張型心筋症(DCM)の遅延造影(LGE)において心筋中層に増強効果を示す例は示さない例と比べ予後が悪いことが知られている。しかし病理学的な差異について明らかになっていない。一方、近年ではModified Look-Locker Inversion Recovery(MOLLI)法など造影前後の心筋T1値からECVを算出し病態の評価に用いることの有用性も報告されている。【目的】正常例とDCM(MID-LGE有・無)で撮像されたMOLLI T1mappingを用いてECVの検証を行う。【方法】過去CMR検査で正常と診断された5症例とDCM16症例を対象とした。DCMはMid-LGE陽性と無の群に分けNative T1と造影15分後T1よりECVを算出し3群間で比較した。使用装置MAGNETOM Avanto1.5T Siemens社製、撮像条件MOLLI 8-2(IR-IR=7200ms以上),TE=1.13ms,FA=35°,FOV=360mm,Matrix=224×55%,Duration time=86ms【結果】 1)DCM 16例はLGE画像の視覚評価からMid-LGE有8例、無8例に分けられた。DCM2群間の心容積、心機能、心重量に有意な差は認めなかった。2)Native T1は、心室中隔、心室中隔以外の領域、全体の各平均値において3群間に有意な差は認めなかった。3)ECVは、心室中隔、心室中隔以外の領域、全体の平均値において正常者とDCMMid-LGE無群に有意な差は認めなかった。Mid-LGE陽性群のECVは両群に比して有意に大であった。また各々の群において心室中隔、心室中隔以外の領域、全体の平均ECVは有意な差を認めなかった。【考察】正常例と比べDCMは低心機能を示すものの、正常例とMid-LGE無群のECVに差はなくMid-LGE有群のみ増加を認めた。またMid-LGE有群は心室中隔領域に限らず左室全体のECVが増加していた。【結論】ECVはLGEにて視覚的に評価困難な病理組織学的変化を捉える可能性がある。