[O-1-007] 非造影心筋T1 mappingを用いた肥大型心筋症(HCM)の評価
【目的】MOLLI法は心筋のT1 mappingとして用いられ、通常は造影後のT1を計測することで造影の程度を定量的に評価し、線維化などの心筋傷害を評価する。今回我々は、肥大型心筋症(HCM)における造影前のT1 mappingの心筋傷害の検出の有用性に関して、造影後のT1 mappingと比較して検討を行った。【方法】対象はHCMと診断され、造影MRIが施行された22例。撮影装置はSiemens MAGNETOM Verio(3T)で、心基部・中部レベルの短軸像において、造影前および造影後(21分)にFast-MOLLI法を撮影した。Fast-MOLLI法は2回のIR sequenceから構成され、Inversion timeの異なる8個の元画像が得られる。元画像から作成されたT1 mapにおいて各段面の心筋を6 segmentsに分割し、各segmentのT1を計測した。【結果】造影前の平均T1は1291±74msecで、造影後は690±79msecであった。これは同一条件を用いた以前の我々の検討における正常心筋のT1(造影前:1146±43msec, 造影後:738±38msec)と比較して、造影前は有意に延長し、造影後は有意に短縮していた。造影前のT1はΔR1(造影前後での1/T1の変化:造影の程度を反映)と有意に相関していた (r=0.64, p<0.0001)。【結論】HCMにおいて、造影前のT1計測により心筋の造影の程度(心筋傷害)を推定できる可能性が示唆された。腎機能障害など造影剤が使用できない症例で遅延造影の代用としたり、非造影T1 mappingのみで心筋性状を評価できる可能性がある。