[O-1-015] 急性期脳梗塞におけるComputed DWIの画質評価
【目的】拡散強調画像(以下DWI)は急性期脳梗塞の診断をする上で重要な撮像である.患者の中には発症時期や機序よってDWIで淡い高信号域を示す場合があり,読影の際に拡散が抑制されているか判断に迷う場合があった.経験的にHigh bで撮像した画像は病変をより明瞭にするため,診断する際に有用な場合がある.近年,計算上でb値を任意に変えて画像が作成できるComputed DWI(以下cDWI)が出来るようになった.そこで今回cDWIで作成したb2000の画像が急性期脳梗塞の診断に応用できるか画質評価を行った.【方法】基礎検討としてアスパラガスを用いTR,TEは固定し,bを0~2000まで250ずつ可変させ水とのコントラスト比(以下CR)を算出した.また,b0,1000よりcDWIでb2000を作成し,実測のb2000と比較した.次に2013年4月から2014年3月にVantage Titan 3T(東芝社製)においてDWIで淡い高信号域を示した急性期脳梗塞症例23人に対してcDWIでb2000を作成した.ROIを所見のある部位に置き,正常な白質とのCRを算出した.【結果】基礎検討においてCRはb値に比例して向上した.cDWIのb2000は実測のb2000と比べCRが約0.8倍低下し(p<0.05),実測のb1000のCRと比べCRが約5倍向上した.急性期脳梗塞症例全例でCRは撮像したb1000よりcDWI のb2000が高値を示した.【考察・結論】基礎検討でcDWI のb2000は実測のb1000と比べ,十分にCRが向上していることがわかった.また,実測のb2000と比較するとCRが低下したが,これはcDWIがmono exponential関数近似を用いて作成されていること等が要因であると考えられる.しかし,cDWIでb2000を作成することはb2000の追加撮像を行わないので検査全体の撮像時間が延長せず,後から簡単に任意のb値の画像を作成できるため有用である.よって,cDWIで作成したb2000はCRが向上し,急性期脳梗塞の診断に応用できる可能性が示唆された.